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2013年プロ野球キャンプレポート・千葉ロッテ編 「クリーンアップ再編と新人・クローザーの大抜擢」

 WBCに出場していた角中勝也外野手が、「5番バッター」として出場したのはチーム帰還後2試合目だった(3月23日)。ペナントレース本番まで1週間を切ったこの時期に、角中をクリーンアップに戻したということは、打撃陣に「不安」を感じているからだろう。

 新監督・伊東勤氏は、昨季の首位打者で機動力もあるこの角中を1番か、2番で起用する構想を打ち明けていた。昨季の「5番打者」の打順を動かすということは、クリーンアップ全体の改造にも繋がってくる。井口資仁、ホワイトセル、今江敏晃、福浦和也、大松尚逸、サブローがその候補とし、オープン戦は「4番・井口」で臨む試合も多かったが、今一つ得点効率が上がって来ない。角中のチーム合流後の最初の打順は2番。2番では2安打を放ち、5番打者として臨んだ23日は勝負強いところも見せ、チーム唯一の打点を稼いでいる。昨季のチーム打率2割5分7厘、出塁率3割2分は、ともにリーグトップ。しかし、打ち勝ったというイメージはあまり強くない。敗因は主に故障者続出による投手陣の崩壊だが、とにかく連敗が多かった。伊東監督が打線改造を念頭にキャンプインした理由は、世代交代の途中にある投手陣をカバーする目的もあったのではないだろうか。

 その『クリーンアップ改造』を念頭にキャンプを見たが、井口、ホワイトセル、今江の打球に「格の違い」を感じさせられた。福浦、大松らにも安定した力があったが、「期待できそうな若手は?」と聞かれると、昨年、支配下登録を勝ち取った角晃多、根元峻一、鈴木大地といったところだろうか。ただ、彼らはクリーンアップ・タイプではない。長打力という点では、若手のなかでは細谷圭が目立っていた。細谷の守備位置は主にファースト。ポジションではホワイトセル、福浦と被ってしまうが、指名打者候補にベテランが多いので、今季は出場機会が増えるのではないかと思えた。

 投手陣だが、ドラフト1位の松永昴大(24=大阪ガス)が「面白い」と思った。社会人時代から「先発、リリーフの両方ができる好左腕」と評されていたが、ブルペン投球を見て感じたのは、肩を早く作れること。20球弱のキャッチボールで全力投球に入っていた。スライダーが武器だとは聞いていたが、その曲がり幅が非常に大きかった。右打者の膝元を想定した『外角低め』へのコントロールも良い。1年先輩の左腕・藤岡貴裕も、右打者の膝元にストレート、スライダーを決めるコントロールを持っていたが、“タイプ”が異なる。藤岡が右打者の膝元に決めるボールが「ストライク・カウント」を取るものだとしたら、松永は対戦バッターの腰をひかせるもの。ただ、ドラフト当時は「150キロ以上出る」と紹介されていたが、さほどのスピードは出ていなかったように思う。伊東監督は「クローザー起用も…」と一部メディアでコメントしていたが、「早く肩が作れる」点ではその適性は十分に持っているようだった。

 また、レデズマが良い。昨季8月に来日初登板を果たしたが、左のパワータイプ・ピッチャーで、おそらく、長打力のある右打者と真っ向勝負しても、力負けしないだろう。他球団は上方修正すべきだが、100球前後を投げたブルペン投球を見たとき、「アレ!?」と思った点が1つだけある。通常、100球前後を投げ込む場合、変化球も使う。カットボール系の変化球(?)、スライダーは投げていたが、「緩いボール」は全く見られなかった。持ち球に『緩急の変化球』はない? スタミナは十分そうだが、2巡目に捕まってしまうのではないだろうか。そうなると、このパワー・レフティーはリリーフで使わなければならない…。

 石垣島キャンプに招集された24人の投手中9人が左投手だ。成瀬、藤岡、ドラフト2位の川満寛弥は先発候補。救援陣の軸は2年目の右腕・益田直也だとしても、左のリリーバーが多くなるだろう。しかも、そのほとんどがオーバー・タイプ。球質が異なるとはいえ、松永がクローザーを務めるとなれば、“似たような左腕タイプ”ばかりなので、リリーフの構成、継投が難しくなってくる。伊東監督にとって、腕の見せどころではあるが…。

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