search
とじる
トップ > スポーツ > 2013年プロ野球キャンプレポート・東北楽天編 「新人・則本で試される星野継投策」

2013年プロ野球キャンプレポート・東北楽天編 「新人・則本で試される星野継投策」

 WBCでエース・田中将大が抜けた東北楽天ゴールデンイーグルスのキャンプ中盤以降は、主役不在で物足りない印象もあった。しかし、オープン戦でブレイクした男がいる。ドラフト2位・則本昴大投手(22=三重中京大)である。一部報道にある通り、星野仙一監督は「面白いんじゃないの〜?」と、このルーキーの開幕投手説も否定しなかった。現時点で、この則本がもっとも調子良い。開幕投手の抜擢説はともかく、この新人が2ケタ勝利を収めれば、クライマックスシリーズ進出圏に食い込んでくるのは間違いないだろう。

 則本が「並みの新人」とは違うところを見せたのは、韓国・サムスン戦(2月18日)。2番手として登板し、3回1安打無失点に抑えた。

 この登板を見て、まず思ったのは、投球テンポが早いこと。捕手からの返球を受けたら、すぐにサインを伺い、頷くのと同時に投球モーションに入る。このテンポの速さは守る野手にもリズムを与えるはずだ。また、昨秋のドラフト時点では「角度、球速を変えたスライダー、カーブを投げ分けるタイプ」とも紹介されていたが、『不思議なボール』も投げていた。左打者の外角高めに来るボールで、同試合以降のオープン戦でも投げている。
 「角度を変えたカーブの1つ」と思われるが、則本の指先を離れた瞬間は「ボールコース」の“抜け球”なのだが、そこからストライク・ゾーンまで来る『大きな落差』があるのだろう。左の対戦バッターは慌ててバットを伸ばし、辛うじてファールにしていた。対外試合初登板となったサムスン戦では、このボールで空振りも奪っていた。ウイニング・ショットとまではいかないが、則本は左右のボールの出し入れだけではなく、『緩急』という武器も持っていることが分かった。「直球は150キロ台半ば以降」とも紹介されていたので、攻略しにくい投手と見て間違いないだろう。

 ただ、ブルペンでは時折、捕手が後ろに逸らすようなボールも投げていた。暴投ではなく、捕手が途中で捕るのを辞めてしまうレベルなのだが、こういう投球は「サイン交換したコースと全然違う方向に来た」ことを意味している。「角度、球速を変えたスライダー、カーブ」のなかで、その日の好不調によって自分の思ったコースに投げ分けられないものもあるのではないかと思った。まあ、このへんは正捕手・嶋基広が上手に配球を組み立ててくれるので問題ないだろうが、ストライク・カウントを先行させてやらないと、投球数が多くなるようにも見えた。
 また、ブルペンで暴投すれば、並の新人投手なら、萎縮してしまうところだが、則本は表情1つ変えないで淡々としていた。良い意味で「図太い」とも思った。

 打撃陣に関しては、「やってみなければ分からない」という状況だった。松井稼頭央、4番に入る可能性も高い前ヤンキースのアンドリュー・ジョーンズもWBCに招集されたためだが、星野監督は中日から内野手・岩崎達郎を緊急獲得している。二遊間を守れる選手の強化が狙いだったが、本来、そのポジションに入るはずの藤田、西村が故障した時点で、「若手にもチャンスを与えるのではないか」と思われた。それなりの人材がいるからで、たとえば、1A以下のサマーリーグに在籍し、テスト生から育成契約を交わしたポロ、トレード加入の仲沢広基、練習熱心で首脳陣も一目置いてきた阿部俊人らがそうである。ポロは格下のサマーリーグにいたが、「守備能力はメジャークラス」であり、20歳という若さからしても日本で爆発する可能性も秘めている。
 ある意味、冷酷とも取れる外部補強に出たのは、星野監督がCS進出以上の結果を狙っているからだろう。

 新加入で目に付いたのは、ケーシー・マギー(右投右打=30)。日本のストライク・ゾーンに戸惑っているのか、紅白戦、オープン戦前半は外角のボール球を振らされていたが、フリー打撃では「打球が速い」という印象も受けた。変化球の多い日本の投手に慣れれば、二塁打を量産するタイプだと思えた。

 8年ぶりの日本帰還となった斉藤隆だが、ストレートの威力は、とても43歳とは思えない。フルシーズンを投げるスタミナはないかもしれないが、クローザー・青山浩二の負担を軽減させる力は残っている。好調さを感じさせたのは、5年目の辛島航。昨季108イニング強を投げたのが自信になったのか、ブルペン投球でも堂々としていた。6年目の菊池保則はフォークボールを練習していた。この菊池を見て、2010、11年にセットアッパーとして活躍した巨人・越智大祐を思い出した。この「重いストレート」を投げる菊池は、星野構想に入っているのではないだろうか。

 田中将大、則本、2年目の釜田佳直、美馬学、辛島…。打撃陣の真価はWBC組の帰還後まで分からないが、投手力は確実にアップしている。先発候補陣の出来如何では、則本をクローザーで使うとの情報もある。実績のある斉藤隆、好調な菊池もいるだけに、青山に繋ぐ継投策が確立すれば、楽天は番狂わせをしてくれるのではないだろうか。

関連記事


スポーツ→

 

特集

関連ニュース

ピックアップ

新着ニュース→

もっと見る→

スポーツ→

もっと見る→

注目タグ