確かな成長を感じ取っている。「精神面がしっかりしてきた」と松田国師と安藤勝騎手が口をそろえた。
大人になった桜の女王ダイワスカーレットがいよいよ帰ってくる。春は喜びと悔しさが交じり合っていた。桜花賞で後にダービー馬へと上り詰めるウォッカを早めの仕掛けから完封。しかし、2冠のかかったオークスは感冒のため取消と、無念を味わった。
その後は秋に備え休養に入り、夏場も早めに始動した。これが奏功した。8月はインフルエンザ騒動で放牧からの検疫業務がストップ。オークス馬ローブデコルテなど有力馬の入厩が大幅に遅れた。そんななか、スカーレットは連日、栗東の坂路で元気に乗り込まれた。
「ケイコは速すぎても遅すぎてもダメ。そのあたりをうまく調整できました」と松田国師が言う通り、猛暑にも負けなかった。「春は体温の上下動が激しくオークスも回避したわけだけど、今は体質がしっかりした。うまくモチベーションを保つ追い切りもできました」
5日の1週前追い切りは坂路で800mを53秒0→38秒2→24秒7→12秒2。前半はきっちり折り合って、ラストは文句なしの鋭さだった。
安藤勝騎手は「秋は二千二百のエリザベス女王杯でも結果を出さなくてはいけないが、成長した今なら」と力を込めた。松田国師も「もう一人相撲を取ることはないでしょう」とうなずいた。
秋華賞ではウオッカが待っている。まずはTRでダービー馬もビビる強さを見せつける。