去年の夏ごろ、付き合っていた恋人の束縛に耐え切れず、別れました。自分から別れを切り出したものの、喪失感が大きく、寂しかった私はバイト先の先輩に相談し、飲みに行くことに。ベロベロに酔った私は、そのままの流れで先輩と帰宅すると、男女の関係になってしまいました。
それから数日後、帰宅するとドアノブに紙袋がぶら下がっていることに気がつきました。中を見ると、そこには元カレに貸していた本やDVDが入っていまいした。別れる際に「借りたものは返すから」と言われたことを思い出したんです。きっと顔を合わせるのもお互い気まずくて、ドアノブにかけるという方法を選んだのでしょう。
そして紙袋の私物の中には、USBメモリも入っていました。これは一緒に旅行に行った際、私のデジカメで撮ったデータを彼にわたす際に使ったものです。その写真も必要なかったので、まだデータが残っているなら削除しようと、自宅のパソコンに差し込みました。すると写真ファイルとは別に音声データも入っており、それを再生すると私のベッドでの声が入っていたのです。相手の男性とのやりとりも録音されていました。それはまぎれもなく、あの日の先輩との行為を録音したものだったのです。
あの日は暑かったので、アパートの1階の窓を開けていたと思うのですが、もしかすると彼は、返却に来た際、録音していったのかもしれません。そしてUSBには、テキストファイルも入っており「これは思い出として僕がずっと持ってるからね」とだけ書かれていて、気持ちが悪かったです。
それ以来、何をしている時でも、夜には必ず窓を閉めるようになりましたね。
写真・moonlightbulb