この問題が原因で、9月8日から謹慎していた雷理事は、16日に理事の辞表を提出したが受理されなかった。報道があった日の翌20日、退職届を提出し、北の湖理事長(元横綱)が受理した。現職理事の退職は異例で、退職金は支払われるもよう。相手の女性職員は17日付で、すでに退職していた。
協会は理事の後任補充はせず、雷理事が担当していた総合企画部長、生活指導部長、観察委員長などは、現状の人員で分担する方針。
同誌の取材に「(妻とは)離婚することになっている」などど、のん気に語っていた雷理事だが、退職に追い込まれて「辞めてしまうと、報じられたことを認めたように思われてしまうが、そうじゃない。ただ、女性問題で騒ぎを起こし、協会に迷惑をかけた。理事の立場もあり、自分で判断した。期待してくれていた人には申し訳ない」と話した。
「しっかり調査して報告します」と語っていた八角広報部長(元横綱・北勝海)は、「これから一緒に協会を盛り上げていきたかったのに、残念でした」と言うにとどめた。雷理事の退職によって、この問題は落着となり、真相究明はなされない可能性が濃厚となった。
「まさに、臭いものにふたをした印象です。場所中でもありますし、優勝争いや日馬富士の綱獲りが盛り上がるなかで、協会としては雷理事のスキャンダルで、それに水を刺されたくはないでしょう。『自主的に退職すれば、不正等の問題も追及しない』と協会から勧告されたようです」(某スポーツ紙相撲担当記者)
身から出たさびとはいえ、不倫、経理の不正計上疑惑の代償はあまりにも大きかった。雷理事はまだ46歳で、定年までは18年5カ月残っていた。理事の月給は約140万円で、賞与や諸々の手当を合わせると、その年収は約2100万円とみられている。雷理事が定年まで理事職にあったとすれば、3億8600万円程度が、その懐に入る計算で、雷理事はそれを棒に振ってしまった。
(落合一郎)