「オヤジのように強い馬を見抜く眼を養い、ホワイトシルバーのように大井の馬で競馬をわかせたい。騎手では抜かせなかったが、調教師としては超えたい」
父は“山おろしの荒山”と呼ばれた名ジョッキーで、調教師としても318勝を挙げた今は亡き荒山一徳氏。その偉大なる先代が育てたホワイトシルバーで騎手時代は東京大賞典など重賞3勝を挙げた(通算2652戦226勝)
実は、重賞14勝を誇る名馬アブクマポーロの素質を見抜き、「絶対大きなところを獲れる」と確信していたのも一徳氏だった。一徳氏の死去により、ポーロは船橋へと移籍していったが、転厩先の出川克師から「荒山先生のところで大事に使われていたからここまでこれた」と言われたことが自分のことのようにうれしかったという。
その一徳氏が常々口にしていたのが「馬には乗ってみろ。人には添ってみろ」という言葉。師としては厳しい人だったが、馬を大事にする尊敬すべき大きな存在だった。
厩舎開業の時期は未定。現在は決定の知らせを待ちながら所属していた秋吉和厩舎で見習調教師として腕を磨く。騎手時代から調教を一任され、「仕事がしやすい環境をつくってくれた」と感謝の意を示す秋吉師。2人の師匠の背を見て学んだことだけでなく、自らの乗り役時代の経験を生かし新たなことにも挑戦したいという“チーム荒山”の始動が待ち遠しい。