本作は、巨大組織の闇と戦う銀行員が奮闘する“勧善懲悪”ストーリーだ。最終回では、組織の裏金情報が記載された手帳を手に入れた片岡洋(福山)が、裏金の事実をマスコミに流そうとすると、副頭取となった横山輝生(三上博史)に阻止される――という展開となった。
最終回終盤では、かつての部下の真山徹(香川照之)が「不正が明らかになって、社内が混乱することになっても、頑張ればいい」と片岡に進言し、それに勇気づけられた片岡が、組織の隠蔽や不正の情報をマスコミに告発した。そして、以前から予定されていた新規事業説明会の会場に赴いた片岡は、自分が組織の情報をマスコミに流し、説明会が中止となったことを横山に知らせる。そして、「組織は正しくあるべき」と横山を説得した後で、会場に集まった若者に「頑張ってください!」と発言した。
何度も「頑張れ」というワードが出現したことに対し、視聴者から「頑張れって言葉がキライ。今の時代こそ、頑張らないっていう選択肢が大事」「頑張れって連呼しすぎてウザイ」「できれば淡々と仕事をこなしたい。頑張るってそこまで大切ですか?」と批判の声が挙がった。
また、物語の展開やドラマの構成についても、「結局覇権争いじゃん。飽きたよ、そのネタ。それにしても、小さくまとまった最終回だったな」「残り10分で何があったの?話についていけない。告発した片岡がなぜセンター長として残れたの?」「“センター長として出世”って描きたかったんだろうけど、センター長って微妙だよね。いっそのこと、頭取にでもなっちゃえばよかったのに」との指摘があった。
「本作は放送開始当時、コメディテイストが強かったのですが、話数が進むにつれ、サスペンス路線へと変わりました。しかし、“覇権争い”が結局、組織内のお家騒動で終わっていて、政府や他組織との攻防戦がなく、盛り上がりに欠けた終わりとなりました。最終回終盤も、組織の不正騒動のその後が詳しく描かれず、いきなり真山は妻の実家の建築会社へ、片岡は人事異動で人材育成センター長へと、それぞれ別の道を行くという展開になっており、混乱する人も多かったようです。また、他局ドラマで最終回拡大スペシャルが放送される中、本作の最終回が延長されないのは、視聴率が落ち、話題にもならなかったからと言えますね。何にせよ、“物語の描かれ方が雑”という点が、最後まで改善されなかったのが残念ですね」(ドラマライター)
放送中も、現役銀行員から非難の声が挙がっていた本作。次回の日曜劇場については、「仕事ドラマであれば徹底した取材を」「新しいテイストの内容が見たい」との声も挙がっている。果たして、7月7日から放送開始される新日曜劇場『ノーサイド・ゲーム』は、本作を超える支持を獲得できるのだろうか。今後の放送情報に注目したい。