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【雅道のサブカル見聞録】アダルトゲーム業界縮小 アニメへの影響大か?

 先日、アダルトPCゲーム市場が縮小を続けているという報道があった。この動き、アニメ業界にとって重要な事件になりそうだ。ここでいうアダルトPCゲームというのは、主にアドベンチャーゲーム形式で、成人向けの描写があるアニメ風のキャラクターが登場するゲームのことで、オタクの間では主に“エロゲ”と呼ばれるもの。なぜのエロゲの衰退がオタ業界にとっての重大事かというと、それはエロゲ業界が新たな才能の評価される市場になっているからだ。

 今月から映画の放映が始まった2011年のヒットアニメ、『魔法少女まどか☆マギカ』。この企画の脚本とシリーズ構成を担当した虚淵玄氏、実はアニメを中心に活動していた脚本家ではない。元々の活動の場はアダルトゲーム業界で、シリアスや暗い設定のアダルトゲームを得意にしていた人物だ。他にも2010年放送のオリジナルアニメ『Angel Beats!(エンジェルビーツ)』の脚本、シリーズ構成担当の麻枝准、2012年に7月〜9月まで放送されたアニメ『人類は衰退しました』の原作者、田中ロミオ、2011年に放送された『IS インフィニット・ストラトス』の原作者、弓弦イズルなど、アダルトゲーム業界出身者が一般のアニメやライトノベルに進出してヒット生んでいる。

 対象が成人向けということで、ある程度、過激で実験的な設定が許されるのがアダルトゲーム業界の特徴で、尖った才能を持った人々の表現の場として重要な存在となっている。ここ数年ではその奇抜で実験的な表現が評価され、成人向けの描写を抑えて全年齢向けにアダルトゲームをアニメ化するだけではなく、実際にアダルトゲームで活躍した脚本家やイラストレーターが一般のアニメ、ゲーム、漫画業界などに進出することが多くなっている。ちょうどひと昔前の一般の邦画にピンク映画監督が進出し、ヒット作を多数生み出した状況に近いかもしれない。

 ただ、邦画の方でも最近では、ピンク映画衰退と共に、進出するクリエイターも減少。今では映画オリジナルの企画も通りにくく、テレビドラマなどの劇場化が興行収入の上位を占めることが多くなっている。アニメ業界では最近ようやくアダルトゲーム出身者がメインのクリエイターとなって、ヒット作も送り出す例も少なくない。日本のアニメがこれからも進化を続けて行くには、いろいろと出尽くした感のあるアニメ業界に新風を吹き込むために、アダルトゲームクリエイターの関わりが更に重要になっていくことだろう。このままアダルトゲーム業界の縮小が続けば新しい発想を持ったクリエイターの減少を招き邦画のうように閉塞感を招くだろう。

 とっぴな思いつきで発売されるゲームが多くクソゲー率(面白くないゲーム、プレイ困難なゲーム)が高いアダルトゲーム業界だが、石ころの中からダイヤの原石を探すのもアダルトゲームユーザーの醍醐味。市場縮小の理由として違法コピーの横行なども挙げられているので、ぜひともマニアな人もそうでない人も、アダルトゲームユーザーには正規品を買って市場を支えてもらいたい。アダルトゲームオタにはアニメオタも兼ねる人が多い。後々に面白いアニメを見るために、クソゲーを掴まされたと思えば多少は許せる気はしないか?(斎藤雅道)

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