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新人王コンビ復活劇

 トレード期限は31日までだが、今季はシーズンに入っても10件もの異例のトレードが行われた。「選手に新しい働き場を与えるために移籍の活性化が必要だ」と訴え続けている労組・日本プロ野球選手会(新井貴浩会長=阪神)にとっては、大歓迎のトレード市場の活性化だろう。主役は、今季完全復活を果たした元新人王コンビ。ともにセ、パの6月月間MVP投手部門賞に選ばれた、阪神・久保康友、オリックス・木佐貫洋の2人だ。

 久保は、「最後の松坂世代」と言われ、関大一高から松下電器を経てロッテ入りした05年、期待通りに10勝3敗の成績でパ・リーグの新人王に輝いている。が、2年目以降は、7勝13敗、9勝8敗、4勝7敗とじり貧で、昨年阪神にトレードされ、9勝8敗。が、2年目の今季は完全復活して、巨人を追撃する阪神投手陣の救世主になっている。
 故障リタイアの左腕コンビの岩田、能見、不調の右腕・安藤とひび割れ状態の三本柱に代わり、ローテーションの軸になっている。6月は4試合に登板して4連勝で月間MVPを受賞した。ロッテで新人王を獲得したルーキーイヤーの6月にパの月間MVPに選ばれて以来2度目の快挙だ。
 今季通算も7勝4敗(※本日の横浜戦に登板なのでその結果で数字を訂正してください)。5年ぶりの二ケタ勝利が早くも視野に入っている。阪神が巨人を逆転して5年ぶりのリーグ優勝をすれば、投手陣では抑えの藤川と並ぶ、MVPクラスの貢献度になる。新天地に移籍して万々歳だろう。

 今季、巨人からオリックスにトレードされた木佐貫も同じだ。亜大から巨人入りした03年に10勝7敗の成績で新人王に輝いたが、それ以降は7勝8敗5セーブ、0勝1敗5セーブ、0勝3敗と低迷。07年に12勝9敗と復活したかに思えたが、翌年6勝5敗、昨年は0勝。オリックスに放出されている。
 が、阪神監督時代から木佐貫を見続けている岡田新監督は、「まだまだ木佐貫は使えるで」と、木佐貫の復活を確信、公に宣言していた。岡田監督の予告通りだ。6月はリーグトップタイの4勝。29日の楽天戦では7年ぶりの完封勝利。防御率1.24はリーグトップの成績で、プロ8年目で初めて月間MVPを受賞したのだ。今季通算も8勝5敗で、3年ぶり3度目の二ケタ勝利が手の届くところまできている。
 元新人王コンビの阪神・久保、オリックス・木佐貫の大成功で、トレード市場はさらに活性化するだろう。それでなくとも、今年は異例の2月のキャンプ中に、西武・赤田とオリックス・阿部の交換トレードが成立したのをはじめ、シーズン中にも金銭を含めて10件という過去に例のない数多くのトレードがあった。

 日本ハムから横浜へ移籍した江尻、横浜からロッテに移った吉見、ソフトバンクからオリックスの荒金など、新天地で働き場を見いだした選手は少なくない。スター選手のメジャー流出に歯止めがかからない現実がある以上、限られた人材をフル活用するしかない日本のプロ野球界。かつて「トレードに出して活躍されるのは困る」という理由から飼い殺し状態も珍しくなかったが、そんなことを言っている時代ではなくなっている。移籍の活性化がさらに進み、メジャー並みにシーズン中の主力選手の交換トレードにまで発展すると、新時代の到来と言えるのだが、そんな日が来るか。

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