実名を公表するという京都府警の方針には以前から批判が噴出。ネット上では「身元公表を求めない」という署名キャンペーンが展開されており、28日に京都府警に送付される予定だったものの、その前日の公表ということにさらなる批判が集まることとなった。発表を受けて、各報道番組が被害者の名前を公表しているが、そんな中、27日に放送された『news zero』(日本テレビ系)に特に批判が集まっているという。
この日、『news zero』では、休みを取っている有働由美子の代わりに岩本乃蒼アナウンサーが出演。その中で、京アニ放火事件の被害者の名前が公表されたことに触れ、「NNNでは多くの尊い命が奪われた今回の事件の真実性を保ち、正しく伝えるため、そして、この事実の重みを社会全体で共有するためには、実名報道が必要だと判断しました」として、実名と年齢、これまで担当した仕事を一人一人読み上げていった。
その後、スタジオに日本テレビ解説委員の小野高弘デスクが出演し、このタイミングでの公表について説明。「京都府警が遺族の方々の意向というのをていねいに確認していた」と、これまで京都府警と遺族側が実名公表の可否についてすり合わせていたことを説明。しかし、「そうしましたら、今回の25人の遺族の多くは名前の発表については拒否の意向だということなんです」「現場の捜査員もご理解を求めることに葛藤して心を痛めたというふうに話しています」と、複数の遺族が実名公表に反対していたという事実を明かした。
しかし、この放送に視聴者からは、「遺族が拒否してるって分かってるのに読み上げるって何なの!?」「長々言い訳してるけど、全然プライバシーに配慮できてない」「遺族が拒否してるのに実名明かすことが重みを共有することなの?」という批判が集まっている。
「夜の報道番組では『NEWS23』(TBS系)、『報道ステーション』(テレビ朝日系)でも被害者の実名を明かしていましたが、『NEWS23』は氏名を画面に映すのみ。『報ステ』は遺族が拒否したことなどは説明していなかった。それもあって、『zero』の報道がより“悪質”だったとして批判が集中してしまったようです」(芸能ライター)
同じ日には京アニ代理人弁護士がツイッターで実名報道について遺憾の意を示していた。多くの人が望まない実名公表の是非は今後も議論となりそうだ――。