「京都アニメーション被害者の遺族です」と前置きしたこのネットユーザーは、「記者達が実家に押しかけ、葬式場に連絡し、黙って押しかけ勝手に撮影しています」と、被害を訴える。
そして、「そんなに悲しむ様子を撮って面白いですか? 報道の自由ってなんですか? 死体蹴りですか? 私達のプライバシーは無視ですか?」と怒りの声をぶつけた。
さらに、リプライで「やめてと言ってもやめない。じゃあ友人に聞いてもいいですかって、ふざけてるんですか」と記者たちが制止に耳を貸さなかったことを明かし、「腹が立って直接話しを聞きに行ったら真相を…と仰いましたけど、真相なんて遺族や友人に聞いてわかるんですか」と憤りの声を挙げる。
そして、「マスコミのせいで、名前を掲げることができない。警察による厳重警備を依頼しないといけない」と怒り、「真相が知りたきゃ犯人聞いてください。我々はあなた達のおもちゃではない」「人の家の事情に首を突っ込まないでください」と訴えた。
このツイートに、ネットユーザーから賛同の声が集まる。「イイね」の数は3つのツイートを合計すると50万にも及ぶほど。「報道の自由」を盾に、被害者やその遺族を蔑ろにするメディアの取材方法に憤っている人が、かなり多いことを裏付けていると言える。
「メディアによる被害者への人権無視」は昨今問題化し、批判を集めている。5月に発生した川崎市の連続死傷事件では、朝日新聞デジタルが被害者の実名や勤務先、そして受けた傷について詳細に報じ、「被害者の事を考えていない」「楽しんでいるとしか思えない」と批判されている。
さらに、この件について作家の百田尚樹氏は、「殺人事件があると、記者が真っ先にやることは、被害者の写真をさがすこと。名前を突き止めると、同窓生名簿を手に入れ、元同級生の家まで卒業アルバムを借りに行く」と糾弾した。そして、今回のように遺族の感情を無視して、事件被害者の葬式に現れ、悲しむ様子を撮影する記者やカメラマンが存在する。
メディアが葬式に訪れる件では、2014年9月、ダウンタウンの松本人志が、実父が亡くなった直後、某週刊誌が実母を取材したことについて、「ゲスのゲス」と批判したことがある。芸能人と一般人の違いはあるにせよ、弱っている人間のもとを訪れ、「晒し者」にしようとする体質は変わっていない。
被害者や遺族のプライバシーを無視した振る舞いが、ネットを介して暴かれているオールドメディア。「道徳」よりも「スクープ」、「真実」よりも「自分たちの都合」を優先する姿勢に、批判が集まっていることを自覚するべきではないだろうか。
記事の引用について
百田尚樹公式ツイッターより
https://twitter.com/hyakutanaoki?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor
文 神城恭介