石井氏はチームOBではない。ただ、ヤクルトをID野球で鍛え上げた野村克也氏が監督を務めた経緯から、今の楽天には当時を知る“教え子たち”がコーチとして残っている。その流れで、石井氏の名前が浮上していたと予想されていた。
「今年2月、三木谷浩史オーナーが練習試合を視察した際、取材で現地入りしていた石井氏がその隣に座りました。三木谷オーナーは石井氏の野球偏差値の高さを認めていました」(ベテラン記者)
楽天は編成部門の責任者だった星野仙一副会長が今年1月に死去したため、その後任を探していた。また、石井氏は吉本興業に所属している。吉本はスポーツマネジメント業務にも精通していて、エンゼルス大谷の代理人を務めるネズ・バレロ氏ら米国とも関係が深い。こうしたネットワークにも着目したのではないだろうか。
しかし、本当のチーム再建策が動き始めるのは、これからだ。
「いちばんの問題は、来季監督人事ですよ。平石洋介代行を昇格させるのは時期尚早という見方がされているので、新監督を招聘するはず。前DeNA監督の中畑清氏、ID野球の申し子・古田敦也氏、楽天で引退した斎藤隆氏などの名前が囁かれています」(前出・同)
スンナリとはまとまらないだろう。平石代行の昇格を推す声も残っている。そして、今オフ、「監督人事で揺れる」と思われる球団がほかにもあるからだ。巨人、阪神、中日、オリックスも分からない。
「DeNAのラミレス監督は昨季終了時に契約を延長していますが、複数年ではないようです。阪神の金本監督は就任当初は3年契約と目されていましたが、本当は2年で、昨季にやはり契約延長となりました。当時の阪神首脳陣の話だと、長期政権と聞いていましたが、今の成績ではどうなるか分かりません」(球界関係者)
在野の監督候補となれば、「超」の付く大物が残っている。オレ流・落合博満氏だ。指揮を執った8年間は全てAクラス入り、4度のリーグ優勝と日本一(07年)も経験している。氏は東北秋田県の出身だ。その実績からすると、それ相応の年俸も用意しなければならないだろう。
「中日の監督時代、常に報じられていたのが不人気。何故、勝利監督が不人気なのかを考えた場合、全ては地元名古屋のお土地柄なんです。中日の生え抜き選手ではないこと、FA権を行使してライバルの巨人に移籍した経緯があるからです。監督としての采配、チームビジョンにおける考え方も優秀な人なので、優勝に飢えたチームなら、『白紙小切手を出してでも』の心境では」(前出・ベテラン記者)
ただ、監督・落合には名伯楽・森繁和コーチがいた。落合氏が一人で新しい球団に行くとは考えにくく、そうなると、中日のオフの人事を確かめてからのオファーになりそうだ。人事で時間をかけたくないとすれば、楽天を始め、他球団は落合氏以外の候補者から声を掛けていくと思われる。
「このまま行くと、石井のGM就任はシーズン途中ということになります。GMは一時的なポストで、来季監督の含みもあるのではないか…」(前出・関係者)
財界関係者によれば、もっとも人気の高いプロ野球OBは古田氏だという。三木谷オーナーやソフトバンクの孫正義オーナー、オリックスの宮内義彦オーナーも一目置いているそうだ。石井氏がGMとしてどんな補強をするのか、監督に相応しいOBを選ぶとしても、自身よりも年上の先輩が多い。そう考えると、GM要請を「監督含みのオファー」と読む声も決して間違いではないだろう。(スポーツライター・飯山満)