同局によると、調査官は06年1月〜11年4月、主に外勤中に携帯電話から証券会社のサイトにアクセスして、計314回の株取引をした。同局の所得税調査担当職員が約30回、調査への協力を求めたが応じなかったという。
それだけではなく、調査官は母親と妻の収入が扶養手当を受給する限度額を超えており、受給資格がないにもかかわらず、確認を怠って、06〜13年に扶養手当計約146万円を過大に受給していた。
一連の不正行為は、12年12月からの調査で発覚したが、調査官は13年5月から所得税調査に応じてこなかった。一見、厳しい処分のように思えるが、職務中、公務員は業務に専念する義務がある。それに加えて、扶養手当を過大受給したり、調査へ協力しなかった点も懲戒免職の理由とされたもよう。
調査官は扶養手当の過大受給分について全額返納し、株取引収入などの過少申告についても追徴税などを納めたという。
同局の田崎康文国税広報広聴室長は「公務員としてあるまじき行為で国民の信頼を損ない、深くお詫び申し上げます。厳粛に受け止め、再発防止に努めて参ります」とコメントしている。
株取引は勤務時間中の行為であるが、同局では上司の管理監督責任を問う処分はしない方針だ。
(蔵元英二)