NHKは「受信料と公共放送についてご理解いただくために」という文書の中で、受信料を徴収する意味について、「いつでも、どこでも、誰にでも、確かな情報や豊かな文化を津々浦々あまねく伝えていくという使命を果たすため」と説明し、「公共放送ならではのさまざまな放送事業を行なっています」と意義を主張する。
続けて、「このところ『NHKを見なければ受信契約はしなくていい。受信料は支払わなくてもいい』と発言する人たちがいます」「放送法や受信規約ではNHKの放送を受信できる設備をお持ちの方は受信契約を結び、受信料をお支払いいただくことが定められています」「『受信料を支払わなくてもいい』と公然に言うことは法律違反を勧めることになる」と、名指しはしなかったものの、参議院選挙で議席を獲得した「NHKから国民を守る党」の活動を批判する。
そして、「不公平感を解消するためにも、(中略)誤った認識を広めるような行為や発言はきちんと対応する」「NHKは放送法や受信規約にのっとって適切に業務を行っており」などと主張し、最後に「公平負担の徹底に全力で取り組んでいく」と、これからも未契約者に対し受信料を徴収していく方針を明確にした。
今回の文書発表は「NHKから国民を守る党」が参議院選挙で議席を獲得し、丸山穂高衆議院議員の入党、渡辺喜美参議院議員と統一会派を結成するなど、意欲的な活動をしていることに、脅威を覚えているためであると思われる。
異例の文書発表となったが、ネットユーザーからは「結局自分たちの主張を繰り返しただけ」「放送法そのものがおかしく、契約の自由に反していると主張していることには全く触れられていない」「テレビを設置しただけで、見ていなくとも受信料を取られることに不公平感を覚えている。全くの時代錯誤な主張だ」と厳しい言葉が並んだ。
また、「押し売りのような契約手法を止めてもらいたい」「夜に押しかけ契約を迫られた。まるで借金取りのようだった。これからさらにそれが強まりそう」など、強引な「取り立て」に不安を覚えるネットユーザーも多かった。
NHKの受信料については、松井一郎大阪府市長が30日の記者会見で、「現職国会議員の未払いを認めるなら一般にも認めなあかんよ」「これがまかり通るなら大阪市も止めさせてもらう」と話しており、今後、この論理が企業や市町村に広がっていく可能性も否定できない。
受信料制度に不満を持つ声はこれまでにも上げられており、遂にNHKに影響を与えた様子。ただし、NHK側は現状これまでのやり方を変える予定はないようだ。
NHKの番組を視聴している人間が、受信料を支払うのは当然のことだが、見てもいない人間にまで、テレビを設置しているというだけで支払いを迫っている現状は、おかしいと言わざるを得ない。それでも、「放送法に定められているから」という理由で金を取り、私腹を肥やすNHKに、厳しい目が向けられている。
記事の引用について
NHK公式サイト
https://www.nhk.or.jp/pr/keiei/otherpress/pdf/20190730.pdf