足踏みの続いていた素質馬が一気に本格化したようだ。スペルバインドの今はそれほど充実している。
暮れの1000万特別、ゴールデン・ブーツTを快勝すると、その勢いで昇級戦の新春Sも差し切った。一気にオープン入りを決めて重賞の舞台に戻ってきた。
「前走は直線で内へモタれながらよくしのいでくれた。オークスの時もそうだったんだけど、追い出すと、右へモタれていく癖がある。それでも、何とか勝ち切ってくれたんだから、根性は大したものだよ」と中川助手は振り返った。
2連勝でようやく上げ潮に乗ったバインドだが、3歳春のころから潜在能力は高く評価されていた。半兄は最強馬ディープインパクトのライバルとして活躍したシックスセンス。ところが馬体重がなかなか安定しないなど、体質の弱さが出世を阻んできた。
「タイプは違うけど、シックスセンスと比べても同じぐらいいいものを持っている。以前のようなひ弱さがなくなって、中身が伴ってきたのが大きいんだろうね」と長浜調教師はうなずいた。
この中間も順調そのものだ。1週前追い切りは22日の栗東DW。5Fから馬なりで68秒0→53秒0→39秒2→13秒4を馬なりでマークした。時計自体は目立たないが、動きは軽快。あわてて速いタイムをマークする必要がないぐらいデキは安定している。
同じ厩舎の同期、リトルアマポーラは昨年すでにエリザベス女王杯を勝ち、名牝の仲間入りを果たした。素質は互角と評価されていたバインドも負けていられない。
「重賞挑戦になるけど、昨春にはスイートピーSやチューリップ賞で一流どころと差のない競馬をしていた。連勝中の勢いもあるし、牝馬同士なら十分勝負になるんじゃないかな」と中川助手は言葉に力を込めた。
飛躍の年にするためにも、ほしいのは勝利の2文字だけだ。