写真からは確認しづらいが、全長は20センチと小さく、細かい歯が立ち並び、糸でぐるぐると全体が巻かれている。見るからに頑丈そうなこの骨はまさに伝説の怪物「龍」のあご骨と呼ぶにふさわしいビジュアルをしている。
法雲寺には他にも本ミステリー記事でご紹介させていただいた「天狗の爪」「楊貴妃の鏡」といった不思議な物品が数多く展示されている。この「龍のあご」もそんな妖怪ミステリーを感じさせる貴重な品である。
さて、この骨であるがどこから手に入れたのか、本当に龍の骨なのかは一切不明。逸話も残っていないため、そのバックボーンがほとんどわかっていないのである。
ただ唯一わかっているのは地元の住民が珍しいものを発見し法雲寺に奉納した、という話が残っているのみである。
龍はごぞんじのように細長い蛇のような体に、恐竜のような頭を持つ怪物である。龍の正体についてはさまざま説があるが、近年では中国人がワニなどの爬虫類を怪物として見間違えた説が有力とされている。もちろん当時の日本にはワニはいないため、内陸地である埼玉県でこんなものが見つかったら当時の地元住民が大騒ぎするのも無理はないだろう。
推測ではあるが、この龍のあごは鮫のような魚のあご骨ではないかと言われている。おそらくは旅の行商人が手に入れたサメの骨を現地の人間にさずけたものと思われる。
現在、この「龍のあご」は法雲寺で見ることができる。「天狗の爪」「楊貴妃の鏡」とともに必見の内容なので是非、その目で確認していただきたい。
(山口敏太郎事務所)