発端となったのは、前事務局長の安河内剛氏の不正経理疑惑等の問題。その責任を問われた安河内氏は、事務局長職を退きながらも、事務局長代行補佐職にとどまっている。現在は森田健理事が事務局長代行を務めているが、疑惑の渦中にある安河内氏が補佐役にいるため正常な組織運営が図れていない。
そのため、森田氏は安河内氏の問題が決着するまでの間の暫定措置として、国内試合を統括する新団体設立を表明。これを、全国のジム会長で組織する日本プロボクシング協会(大橋秀行会長)が支持することを決議。森田氏は週明けにも、コミッショナーに理事としての辞表を提出し、新団体設立に動く見込みで、大方の職員も追随すると見られている。
こうなると、JBCは完全にふたつに分裂することになる。ただ、森田氏は「何とかひとつの団体でやっていきたい」とも語っており、新団体設立は決して本意ではない。現在、JBCでは調査委員会を設けて安河内氏の不正疑惑などの解明に当たっており、6月28日の理事会で調査委員会の報告を受けて、安河内氏の処分を検討する予定となっている。ここで、森田氏が望む安河内氏の追放が決まれば、分裂は回避される可能性も出てくる。
ボクシングが国内でメジャースポーツとしての地位を築いているのは、財団法人であり、ひとつの組織に統括されているからだ。白井・具志堅ジムの具志堅用高会長のように、「分裂はよくない。財団法人として、国に認められていることが大事」と分裂に苦言を呈する関係者もいる。JBCがふたつに割れることになれば、それはメジャースポーツからの陥落を意味する。
(落合一郎)