そして今年末、フジはさらなる英断を下す。11年にスタートした『THE MANZAI』が、賞レースから撤退。ネタ番組の形式に戻すというのだ。
今夏の“27時間テレビ”(同)のなかで、ウーマン・村本大輔が同番組の終了を口走ったため、事の成り行きは注目されていた。これまでにパンクブーブー、ハマカーン、ウーマン、博多華丸・大吉といった4組の覇者を輩出してきたが、制作費と同様に視聴率も控えめのまま、4年で使命をまっとうする。
『THE MANZAI』が終了する背景には、今年末におよそ5年ぶりに復活するテレビ朝日系の『M-1グランプリ』の影響がある。現在、予選1回戦が開催中で、高まる“M-1”復活劇。こちらは中川家、ますだおかだ、フットボールアワー、アンタッチャブル、ブラックマヨネーズ、チュートリアル、NON STYLE、サンドウィッチマンといった優勝者だけではなく、麒麟、千鳥、ハライチ、ナイツ、オードリー、南海キャンディーズ、アジアン、スピードワゴンなど、現在のテレビ番組に欠かせない面々を生んでいる。
参加資格は、結成10年から15年に引き上げ。発足人が島田紳助さん、審査員にダウンタウン・松本人志が加わることで、ガチンコの総合格闘技の様相を呈した“M-1”に対して、『THE MANZAI』は、ナインティナインとビートたけしという黄金コンビで勝負に出て、エンタメあふれるプロレスのようなテイストを重んじた。
しかし、いつしか「優勝すると売れる」というジンクスが崩壊。ピン芸人日本一を決める“R-1ぐらんぷり”、最強のコント師を決める“キングオブコント”と同じく、視聴率や覇者の多忙ぶりなどは、緩やかに下降線を描いていった。
『THE MANZAI』から“M-1”に、フジからテレ朝に渡ったバトン。漫才人気復活の起爆剤になるか!? (伊藤雅奈子)