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SNS誤情報、デマの拡大は一部の少数ユーザーの投稿が影響 不安をあおる投稿は拡散力が強大

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JICAの公式ホームページより

SNSの外国人問題に関する誤情報やデマが原因で、全国の自治体に苦情や抗議の電話・メールが殺到している。中には業務に大きな支障をきたしているケースも出ている。4日放送のNHK「サタデーウオッチ9」でレポートした。

国際協力機構(JICA)のホームタウン事業は、日本の地方都市とアフリカの特定の国との人的交流を深める目的で構想され、4つの市が認定されたが、SNS上で「移民受け入れ制度」との誤情報が拡散し、自治体に抗議が殺到した。そのうちの1つである千葉県木更津市には約9000件に上る抗議が寄せられた。人的交流や人材育成の促進を目指す国際交流の新たな試みだったが、JICAは事業の撤回を発表した。NHKの取材では、少なくとも16都道府県(27自治体)、5つの団体・企業でこうした抗議や問い合わせが確認されている。

例えば、福岡県福岡市や複数の自治体では「市長が特定国の外国人数百人を公務員として入れる」といった、根拠のない情報がSNSで拡散され、自治体への問い合わせや抗議が相次ぎ、自治体が異例の否定会見を開く事態にまで発展した。愛媛県今治市では抗議などの電話やメールが6000件あり、市役所のトイレには「移民反対」の落書きが見られた。

こうした動きは、正式な手続きを経て働き始めた外国人にも影響を与えている。西日本の商社では今年、専門的知識・技術を持つ人対象のビザを取得したSEなどケニア人3人を採用したが、JICAのホームタウン事業が話題になった後、「税金が投入されている」などといったいわれのない批判が相次いだという。

こうした誤情報拡大の背景には、SNSを分析すると、一部ユーザーの投稿が影響している。自治体などの事業に関する投稿約398万件のうち、約118万件は15アカウントが発信源だという。さらに、その15アカウントのうち、12のアカウントでは、複数の自治体の事業に言及している。計100回以上の投稿を行っているものもあった。こうした少数ユーザーの投稿が拡散する背景について、SNS分析の専門家、東京大学の鳥海不二夫教授はこう指摘する。

「通常、こうしたケースでは、インフルエンサーの影響が大きい。人の不安をあおるような投稿は拡散力が強い。人を集めたいと考えている人にとってはそこが狙い目。外国人排斥を積極的に言っていいという状況がSNS上で作られているのではないか」

外国人政策については自民党総裁選でもポイントの1つとなったが、「移民」「難民」「外国人労働者」「外国人観光客」「定住者」などまったく異なる定義の概念がごちゃまぜで語られる傾向がある。少し冷静に考えればわかりそうなものだが、そこは不安をあおろうとするユーザーの思う壺であり、抗議デモなどに参加する人は情報リテラシーが問われている。

鳥海教授は「SNSには自分が気に入った人をフォローするシステムがあるが、目にする範囲の情報がすべて自分と同じような考えの持ち主になる」と注意を呼びかける。

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