「休養させたというより、休養せざるを得なかった。トモから背中、腰など、(体のバランスが)全部バラバラになっちゃった」。調教役の東田助手が苦虫をかみつぶして振り返る春の阪神大賞典は、史上まれに見る極悪馬場に多くのスターホースたちが、その後、リタイアに追い込まれた。
とりわけ、腰に持病を抱えている同馬は長期休養を余儀なくされたが、災い転じて福となすとはこのこと。3歳時は春のデビューから押せ押せのローテーションで菊の大輪を咲かせ、なおかつジャパンCに参戦。息つく暇さえなかっただけに、この完全オフは成長を促進させる好機となった。
「気持ちを切りかえて放牧に出したのが正解だった。春よりフォームが良くなったし、落ち着きも出て心身ともに成長している。去年のジャパンCは惰性で使ったが、それでもあれだけの競馬をしてくれたからね。9月上旬に帰ってきてからは思い通りの追い切りができたし、今秋のGIは大いに楽しみ」
菊制覇から1年。“アチョ〜”の雄叫びが再び淀に響き渡る。