実際は、ハイチの土着宗教であるブードゥー教の儀式から影響を受けた伝説だ。仮死状態で記憶がもうろうとした人物を「ゾンビ」と呼び、農作業で酷使したのが真相であると言われている。
ところが、「ゾンビに遭遇した」という話もある。
イギリスのイースト・サセックス州イーストボーンの「サザン・ウォーターズ・トリートメント・プラント」と呼ばれる下水処理場の作業員らが奇妙な体験を口にしている。下水道で作業していたところ、人間の形をしたゾンビのような怪物に追われ、人が潜んでいるような気配を感じ、壁の中から人の会話が聞こえてくるなど、怪奇現象に見舞われているというのだ。下水道という暗闇の空間でゾンビに遭遇しているとするなら、怖いだろう。
下水道の作業員、マーク・ウェイ氏は、上司から指示を受け、この異常事態を沈静化すべく、超心理学者のマイケル・キングスコート氏に調査を依頼。現場に踏み込んだものの今のところ何も発見されていない。
やはり、作業員の疲労や睡魔から生まれる幻覚なのだろうか。だが、作業員は「ゾンビは実在する」と強く主張している。
ある作業員は、こうコメントする。
「私は幽霊を信じている。私は何かがそこにいるのを確信している。私は夜のシフトには入りたくない」
「曲がり角、曲がり角のたびに『ゾンビがいるかもしれない』と恐れながら仕事することは不愉快なことである」
なるほど、確かに「曲がり角のゾンビ」は「労災」以外の何者でもない。
(山口敏太郎)