有吉は放送前に、ある番組の収録を終えてきたらしい。その中で、多数派が少数派に正論を振りかざすシーンがあったようで、「自分が正しいと思った人の集団が、1人の敵を見つけて総攻撃しているのってしんどいね。モラル的に、こっちのほうが一般的に正しいとされてる人達が集団になって、違うと思った人を攻撃してんのよ…見てるだけで胸が苦しかった」と辛そうな声を上げる。
続けて、「大体、集団で正論言う側の人間達は鬼みたいな顔してる。なんか催眠術にかかったかのように鬼みたいな顔をする」と正論を言っている最中の表情の怖さを指摘し、「今日ちょっと吐きそうだったもん。そんなに言わなくていいじゃん」と辟易した様子を見せた。
メディアコミュニケーションを研究している江戸川大学教授・濱田逸郎氏は、過去にインタビューで「正論をふりかざす批判者たちの目的は、金銭や補償ではない。匿名のまま正論を繰り出して相手を言い負かし、自分の承認欲求を満たすことが目的なんです。まさに、一億総覆面レスラー状態になっている」とネット上で正論を言いたがる人の特徴を解説。
ストレスフルな社会の中で、満たされない欲求不満を満たすため、正論を武器に主義主張を振りかざす人は、今後も増えていきそうだ。
また、『会社が正論すぎて、働きたくなくなる』(講談社+α新書)の著者で、転職コンサルタントの細井智彦氏は「良い意味でのグレーゾーンが、日本社会からなくなってきています。慣習や伝統は認めず、なんでも『シロ』『クロ』つけないと納得できない人が急増している。日本全体がグローバル化、透明化に向かっており、それが曖昧さを限りなく排除する圧力になっている」と曖昧なものを受容できない人が、正論という“極論”を好むと分析している。
見えない人からの正論がどこからともなく飛んでくる時代になってしまい、便利にはなったが生きづらさは増したように思える。
記事内の引用について
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40434?page=4