良美は80年組としてデビューをしたのだが、松田聖子・河合奈保子・柏原よしえ・田原俊彦などが同期であり、すごいメンバーが集まった年だ。松田聖子を筆頭に可愛いアイドルが揃っていて、山口百恵が引退した年ということもあり、どんなアイドルが出てくるのか注目の年でもあった。良美の場合は、可愛さより大人っぽい雰囲気を出し、レベルの高い歌唱力が武器だったので、さほど同期で比較されることは無かった。新人賞の賞取りレースでは、松田聖子と田原俊彦のマッチレースのような状態になっていたが、その中でも美貌と歌唱力という個性を出して人気も上々になり、この年の『紅白歌合戦』(NHK)に初出場を果たしたのだ。すでに出演常連だった姉の宏美と初の姉妹共演となり大きな話題を呼んだ。
デビュー1年目にして『紅白歌合戦』出場歌手になってしまったことで、大きな存在になってしまい、私的に彼女の現場にはあまり足を運ぶことはなかったが、別の目的で公開収録を観に行った時にゲスト出演していたり、テレビ局やラジオ局で出待ちをしている時に遭遇することは多かった。しかし自分に引っかかるところがあまりなかったが、84年の夏にようやく自分にとってのターニングポイントが訪れたのだ。フジテレビが主催した神宮外苑聖徳記念絵画館の前で行われたイベント『ふり〜ばる84』である。このイベントにゲストとして良美が登場して、その時に歌った曲が異常に耳に残り、デビューして4年以上が経ってようやく気になる存在になっていった。
この頃から歌手だけでなく女優活動も本格的に始めるようになり、84年10月からスタートした『スクール☆ウォーズ』(TBS)に出演。大映ドラマが大好きな私は、良美が出る出ないに関係無く見るつもりでいたのだが、ここでの良美は女神様そのものだった。山崎加代という役名で、荒廃しきった高校のラグビー部のマネージャー役で出演したのだが、当時男子校に通っていた私にとって憧れのシチュエーションであり、当時は本気で恋をするほどだった。この『スクール☆ウォーズ』をキッカケに女優として開花してきた頃でもあったことで、今後は歌手活動が少なくなると思っていた人も多かったのだが、人気漫画『タッチ』がアニメ化されることになり、その主題歌に抜擢され、この曲が大ヒットとなり、歌手・岩崎良美の代表曲になった。今でも世代を問わず愛される歌として生き続けている。
90年以降になると歌手活動は完全にストップして活動のフィールドが舞台中心になるのだが、90年代後半に歌手活動を再開し、これまでアイドルソングとは打って変わってフレンチポップやシャンソンなどの方向になり、当時のファンを驚かせてくれた。
歌手活動の復帰の頃に、私はある雑誌で良美のインタビューをすることになった。これまで何度かステージを見たり会ったりすることもあったが、しっかり話をすることがほとんど無かったこともあり、このインタビューでは初期のアイドル時代から女優、そして現在みたいな感じで話しを聞いてみた。個人的には大好きだった『スクール☆ウォーズ』のウラ話などが聞けたことで、かなり嬉しい再会となった。
この時が15年ぶり位の再会だったが、インタビューをした当時から既に15年以上も経っているので、できるなら改めて再会できたらと思っています。最近では姉妹で活動していることも多いので、もし可能なら2人が一緒に出るコンサートの取材でもしてみたいものだ。果たしてそんな日は来るのだろうか?
(ブレーメン大島=毎週土曜日に掲載)
【ブレーメン大島】小学生の頃からアイドル現場に通い、高校時代は『夕やけニャンニャン』に素人ながらレギュラーで出演。同番組の「夕ニャン大相撲」では元レスリング部のテクニックを駆使して、暴れまわった。高校卒業後は芸人、プロレスのリングアナウンサー、放送作家として活動。現在は「プロのアイドルヲタク」としてアイドルをメインに取材するほか、かつて広島カープの応援団にも所属していたほどの熱狂的ファンとしての顔や、自称日本で唯一の盆踊りヲタとしの顔を持つことから、全国を飛び回る生活を送っている。最近、気になるアイドルはNMB48の三田麻央。