ちなみに「トンデモ本」にあたる本にはオカルトやスピリチュアル関係の書籍が多く、必然的にオカルト研究家である山口敏太郎も類似の本を購入することが多々ある。こういった本に載っているUFOや宇宙人、UMAといったものの目撃談などはオカルト研究においては重要な資料になるのだ…信憑性は別としても。
今回ノミネートされ、紹介された本は、陰謀論に予言、UFOや宇宙人に会ったという体験談と、いずれもオカルトの定番が揃っていた。そんな本の一部を紹介しよう。
まず、『本当かデマか 3・11[人工地震説の根拠]衝撃検証』は、東日本大震災がフリーメーソンによって起こされた人工地震である、というありがちな陰謀論であるのだが、列挙されている陰謀の根拠が飛び抜けている。震災の時によく流れていたACのCM「あいさつの魔法」は「アンチキリスト」による福島の原発事故を指している(「ぽぽぽぽ〜ん」の部分がそうらしい)、フリーメーソンの関与の証拠として『秘密結社鷹の爪』というアニメがある、特撮の円谷プロはフリーメーソンからとった名前である(『円谷』という名前はフリーメーソンのシンボルである円とコンパスをかたどっている、らしい)。また、有名な「アニメ『ミンキーモモ』の最終回が放映されると地震が起きる」という都市伝 説は事実だというのだ。この本によれば、フリーメーソンはアニメの最終回に合わせて人工地震を起こしているらしい。とにかく非常に濃い内容のこの本、圧倒的な得票数で今年のトンデモ本大賞に選ばれた。また、前述の内容はいずれも都市伝説や震災に関する流言を元にしている事を付け加えておきたい。
勿論他の本も負けず劣らずの内容で、『秘伝ノストラダムス・コード』はフランス文学専門の筑波大学名誉教授でもある著者がノストラダムスの予言集を訳して書き上げた大書。ちなみに東日本大震災もノストラダムスは予言していたというが、例によって各所で横書きのフランス語を縦読みしてこじつける、単語の超訳をするなど色々とやらかしている。『UFOと日本人の惑星』はUFOにさらわれた経験のある著者がその体験を綴った“叙情詩”。というのも、中身はみな5.7.5.7.7と短歌がずっと続いている形式なのだ! ときおり字余りや字足らず、種田山頭火のような変調になるのはご愛敬である。ちなみに著者はUFO内でヒトラーに会ったと述べている
どの本も昨年に出たばかりの書籍であり、今回の記事を見て興味が出た人は、書店で見かけたら手に取ってみるのも良いかもしれない。ちなみに主宰である「と学会」や山口敏太郎の注目作は『秘伝ノストラダムス・コード』であった(堅苦しいせいか、得票数は奮わなかったが…)。
(写真は「と学会」メンバー。左から山本弘会長、唐沢俊一、皆神龍太郎)
(文と写真:黒松三太夫/山口敏太郎事務所)