生活能力のない女性(だめ女?)は、あまりダメ男に引っ掛からない。だめんず女にはそこそこ自力で金の稼げる女性が多い。それもまあそのはずで、自分ひとり食っていけないようじゃ、ダメ男は養えないという物理的な理由もある。そんな点からも、石を投げればだめんず女に当たるほど、お水にはダメ男好きがゴロゴロしている。 赤羽のキャバクラ『C』の瞳さん(仮名・33歳)。彼女も無類のダメ男好き。口癖をざっとあげれば、「でも彼、いいところもあるんだよ」あるいは、「私が彼を一番わかってあげられる」最終的には、「私でなきゃダメなの」ダメ男好きの三段論法。コレクション? というくらいダメ男を渡り歩いて来たのも不幸だが、自分のステップアップにならない“下げチン男”ばかりに躓いて来たのもまた不幸。赤坂のクラブを頂点に、今は赤羽在住の三十路キャバ嬢。
「自分のことをダメって言う人は、本当にダメになっちゃう。別に私はだめんずだと思っていません」
口をとんがからして反論する瞳さんだが、その経歴を見れば一目瞭然。酒乱の暴力男と出会ってボコボコにされた10代後半。シャブ中の彼氏のフラッシュバックで首を締められ死にかけた20代前半。ギャンブル中毒の四十路中年彼氏に借金を肩代わりさせられた20代後半。そして現在はといえば、三十過ぎてニートというどうしようもない彼氏に、貢ぎ続ける30代前半だ。若いときならダメ男行脚も、百歩譲って人生勉強ってことにしてもいい。男も若けりゃマトモ男に更正する道もあるだろう。それが、お互い、三十過ぎてのだめんずカップルとなるとイタタタタッ。それでいいの? 「言われなくても分かってます。でも、昔の男に比べれば、暴力とかクスリとかギャンブルとか借金とか? そういうの全然ないわけだし、全然マシだと思う。それに人の性格や性質はそうそう変わるものじゃないでしょう。私、今の彼と別れても、絶対に次もダメ男と付き合う自信満々ですもん。だめんずなら、最小限害のない今の彼でいい」
なんだかなあ。しかも、さっき自分はダメとは思わないとおっしゃったばかりでは…。大体にしてニートとの彼とはどうやって知り合ったのだろう。「お店です」まあ、ニートと言っても引き篭もりというわけではないから、お店もありだが…。「それに彼、最初っからニートだったわけじゃないもの。最初の頃は会社の同僚とたまに来るお客さんだったの。いつも何人かで来ているうちの一人。別に私の客ってわけでもなかった。かといって特に指名する子がいたとか、目当ての女の子がいたわけじゃないけど」キャバクラに来ておいてそれもまた無気力ですな。「彼あんまりしゃべらないけど、別に無口ってわけでもないし、穏やかだし口説かないし…そう、品がいいの。育ちがいい感じで彼に就いていると落ち着くし、癒されるの」
そんなわけで、どちらかというと瞳さんの方が“包んであげたい”気分になっていた模様。「それに付き合い出したのは、彼がお店に来なくなってからだもの。ずっとメール交換してて、その後しばらく経って、会おうってことになって。どうしてお店に来ないの? って聞いたらリストラされたって…」そんな話を聞いてしまった手前、デート代は全て自腹を切った。リストラだろうが、倒産だろうが、デートで金を払うのは男とスッパリ割切るのがフツーのキャバ嬢。その前に会わないだろうが…。
「結局そのまま家について来て…1か月もすると居候。でも彼が家の中のことやってくれるから、私は外で一生懸命働けるんだけどね」
つまり、それは無職彼氏でヒモってことなのですね。