この日、1億円の値をつけたのは今年の高松宮記念(GI)を制したファイングレインの弟「ミルグレインの2008」。昨日、別の同産駒を2億2000万円の最高額で購入した島川隆哉氏によって落札された。「最初から取ると決めていた。馬名?息子と娘にすべて任せるよ(笑)」と、島川氏は終始、上機嫌だった。
対照的に「ミスフーバフーバの2008」(牡)は、価格が生産者の希望に満たず、ディープ産駒としては初めての主取りとなった。
馬主関係者が端的に説明する。「値段の安い、高いを決めるのは、種馬ではなく繁殖牝馬の質。ディープ産駒うんぬんよりも、牝馬が社台系かそれ以外かということなんだろう」。その言葉通り、ミルグレインは社台ファーム出身で、「ミスフーバフーバの2008」を生産したのは北海道新ひだか町にある折手牧場。この差が大きいというのだ。
昨年同様、意欲的に高馬を落札した近藤利一氏も苦言を呈した。
「社台と日高では質が違いすぎる。JRAに『会長、日高のセールにもいらしてください』と言われたけど、繁殖牝馬を改良しない限り厳しい」
海のものとも山のものともしれないディープ産駒の評価を分けたのは結局、「ブランド=生産牧場」だった。