直線の中ほど、逃げ込みを図る49キロのテイエムプリキュアに襲いかかったのは、3番人気の53キロ、スクリーンヒーロー。上がり3F33秒7の末脚で一気に交わすと、あとは独壇場。2着ジャガーメイルに1馬身半の差をつけて重賞初制覇を飾った。
「前走(2着)のレースも見ていたし、どんな競馬でもできそうだったからね。ハンデも軽かったので、思い切った競馬をしようと思っていた」と蛯名騎手。早め早めの作戦が図にあたり、笑顔いっぱい。「直線も手応え十分だったし、最後まで我慢してくれると思った。3歳のころに乗っていた時より、気性がしっかりして、まじめに走るようになったね。長い距離を上手に走るところがいい」
管理する鹿戸雄調教師はこれが今年3月の開業以来、うれしい重賞初勝利となった。「いい馬をいっぱい預からせてもらったおかげ。(師匠にあたる)藤沢和先生や(管理馬を引き継いだ)矢野進元先生からアドバイスをもらいながらやってきた。ふたりが勝たせてくれたようなもの」とにっこり。「前走で乗った横山典騎手が上でもやれるといってくれたし、一戦ごとに成長していたから、期待は持っていた。骨折で1年休んでいた馬。まだまだ伸びしろがあるよ。目標は来年の天皇賞・春といってきたけど、これで冗談じゃなくなったね」
気になる次走については「オーナーと相談してから」と明言しなかったが、「今日は思っていた以上に強い競馬をしてくれたからね。自分から動いていって勝ったし、完勝といっていいでしょう。もうワンランク上のところを目指したい。ジャパンC、有馬記念を含めてね」とGI挑戦の意向を明かした。
父グラスワンダー、母父サンデーサイレンスに加え、祖母が重賞を4勝したダイナアクトレスという超良血。遅れてきた大物から今後も目が離せない。