先行有利だった先週の阪神。その傾向は今週も続くだろう。さらに、ひと雨降れば、その流れには拍車がかかりそうだ。金鯱賞を鮮やかに逃げ切ったエイシンデピュティにはもってこいの舞台設定だろう。
「前走は正味、直線だけの競馬で目いっぱい走っていない。だからダメージは皆無に等しかった」と甲斐助手。中間はここを目標にじっくり乗り込まれてきた。ほどよく気合が乗った雰囲気は抜群といっていい。
「よく暑さに弱いタイプといわれるんだけど、まったくそんなことはない。今回も変わりなくいい状態できているからね」と順調さをアピールしてみせた。中間の追い切りの動きも文句なしで、その言葉を後押しする。
最近の充実ぶりは目覚ましい。以前はマイル以下の距離で粘りを生かすだけの馬だったが、いまやすっかり2000m前後の中距離を活躍の舞台にしている。
きっかけをつかんだのは前々走の大阪杯だ。積極策から現役最強のダイワスカーレットに食い下がった内容が陣営に自信をつけさせた。その自信をさらに押し広げたのが前走の金鯱賞だった。かつてのタップダンスシチーをほうふつさせるスピードとパワー。前に行って、底力で後続をねじ伏せる。強く、崩れないスタイルだ。
「そうだね。距離を延ばすごとに、馬が力をつけてきた。今回、さらに1F延長されるけど、そのあたりはまったく心配していないんだ」と未知の2200mにも自信をのぞかせた。
居並ぶGIホースにも今の勢いなら通じる。そう思わせる迫力が今のデピュティにはある。
「最近はレースに対する集中力がすごい。それだけ充実して、6歳になって本格化したといっていいぐらい。初のGIでも不安らしい不安がないんだよ」
とにかく強気。ゲートが開くと同時に、逃げ脚にその思いを託す。
【最終追いVTR】内田騎手が栗東に駆けつけ、坂路で追い切った。残り2F付近から徐々に加速。最後まで手綱は動かなかったが、ラストは1F12秒4とシャープに伸びた。気合も程よく乗り、気配は申し分ない。