春にスプリント戦に転じてから(2)(1)(3)着と、それまでのムラな成績がウソのような進境ぶり。悲願のGI制覇へ向け、キンシャサノキセキが万全の態勢だ。
高松宮記念では一瞬勝ったかと思われたが、ゴール寸前でファイングレインに交わされて2着。その悔しさをバネに、今年は夏休みを返上。「暑い時季はいつも体が緩くなる」(堀師)にもかかわらず、サマースプリントシリーズ参戦を決めた。
そのシリーズでは、戦前から岩田騎手が「負ける気がしない」と強気な発言を連発していた函館スプリントSを1番人気に応えて快勝。念願の初タイトルをもぎ取ると、勢いをそのままに札幌のキーンランドCに駒を進めた。結果は0秒2差3着だったが、直線で前が詰まる不利があってのもの。力負けではないだけに、トレーナーも「内枠が災いした。脚を余した感じだったし、仕方ないですね」とサバサバした表情で振り返った。
美浦へ帰厩後は順調に調整が進んでいる。楽をさせたのは最初の1週間だけ。9日に早くも初時計(坂路800メートル51秒6)をマークすると、1週前にはWコースで僚馬リヴザルト(3歳500万)との併せ馬を敢行。5F66秒0、上がり3F36秒6→13秒3をマークした。
4Fでパートナーを3馬身ほど追いかけ、2馬身差まで詰め寄るのがやっとだったが、この遅れは想定内。「1週前に大きく追いかけて、しっかりやりたかった。かなりいっぱいにできたね」。師は悲観するどころか、むしろ満足げな様子だった。
意外にも関東馬でありながら、中山を走るのは2年8カ月ぶりになる。とはいえ、このコースはデビューから2連勝を飾り、エリート街道に乗った相性抜群の舞台。今まで以上に切れのあるパフォーマンスを見せられる可能性は高い。
「ここのところ涼しくなって、動きもキビキビしてきたからね。(弱かった)爪とか気になるところは一切ないし、夏場より今の方がデキは断然いいよ」
スプリント王者に輝くために、やれることはすべてやった。トレーナーの表情はそう物語っていた。