「中間発表でも投票が伸び悩んでいましたので、覚悟していたというか、動揺しているような様子は見られませんでした。同日のパドレス戦では3打数2安打と本来の当たりを取り戻しつつあるので、プレーにも影響は出ていないと思います」(現地特派員の1人)
しかし、米国メディア陣の見方は少し違うようだ。
6月末の81試合、ペナントレースの丁度半分を折り返した時点でのイチローの安打数は「92」。100本に届かなかったのは、11年目にして初めてのことである。あくまでも、データ上の計算だが、後半戦81試合でイチローが放った平均ヒット数は「109.3」本。過去10年と同じペースで進めば、『11年連続200本安打』は達成できる。もし達成されれば、史上初。なんとかして達成してもらいたいものだが、「楽観視できない」というのが、日米両メディアの一致した見方だ。米国メディア陣の1人がこう予想する。
「近年の200本安打達成とは、チームの状況が違いすぎます。近年のマリナーズはペナントレースを折り返した時点で優勝圏内から完全に脱落していました。しかし、今季は首位とそれほどゲームが離れていません。後半戦、対戦チームもエース級の投手をぶつけてくるはず」
マリナーズはア・リーグ西地区3位だが、首位・レンジャーズとのゲーム差は3.5。4位のアスレチックス以外は『優勝圏内』にあると言っていい(2日時点)。
また、米国メディア陣は「イチローのヒットの内容が変わってきた」とも言う。
「内安打が減ったように思います。三塁手後方にポトリと落とすヒットも激減しています」(同)
『足』と『技術』で稼ぐヒットが見られなくなった分、200本の大台に乗せるのは厳しいというわけだ。
「海外FA権を取得した川宗則(ソフトバンク)のマリナーズ入りを既成路線のように伝えられていました。イチローの弟分だと聞いていますが、マリナーズが欲しているのは大砲タイプの打者です。チームの補強ポイントとは異なります」(前出・現地特派員)
川を巡る“ウワサ”は、入札による米挑戦の可能性があった昨季も囁かれていた。川は大砲タイプではない。しかし、イチローの『11年連続200本安打』が厳しくなった今季の現状から、新しい『情報分析論』も囁かれている。「マリナーズはイチローが不振に陥るのを予見し、その後継者も探していたのではないだろうか」(米国メディア陣)と−−。
雑音を封じるには、ヒットを量産するしかない。
※イチローのヒットに関するデータはマリナーズの公式HPを参考にしました。