田代まさし(以下、田) この前、内外のイベントで猪木さんにビンタしていただいて、そのときは「これでやり直せるな」って思ったんですよ。でも、ネットの掲示板を見てると、『猪木はなんであんなやつに闘魂入れるんだ』とか『甘やかすから付け上がるんだ』とか書いてあるわけです。それでまた落ち込んじゃって…。
佐山サトル(以下、佐) 田代さんは開きなおらなきゃダメですよ。反省してる態度だけはしっかりしておいて、心の中では開き直らないと、人間やってられませんから。
田 そうですかねえ…。
佐 あなたが起こした事件があなたをそんな状態にしたんじゃない。事件の後に叩かれて叩かれてそんなになってしまった。そろそろ開き直るときです。
田 いや、オレの場合、思い切って開き直って行動したら、捕まっちゃったんですけど…。
佐 …う〜ん、じゃあこんな話しましょうか。例えばね、ハワイで毒抜きしてきてストレスがまったくない人がいたとします。一方でノイローゼの人がいる。ストレスフリーの方の人にある物質を注射すると、たちまちノイローゼになるんです。人間の体なんてそんなもの。その物質の分泌を司っているのが自律神経です。内外のイベントで弔辞を読んだとき、田代さん、手が震えてたでしょう。恐らく自立神経失調症です。催眠療法で直してあげますよ。
田 ありがとうございます。でも、せっかくいい話なのに申し訳ないんですけど、オレに「注射」の話はしないでもらえますか。嫌なこと思い出しちゃうんで…。
佐 ははは、そうか。じゃあ飲み薬でもいいよ。
田 いっいや、「クスリ」も勘弁してください〜(苦笑)。
(いつまで経ってもテンションの上がらない田代のため佐山は本当に治療を始めた。そして約10分後、催眠療法は最終段階を迎える)
佐 あなたの前にエレベーターがあります。あなたはエレベーターに乗りたくなる。箱はゆっくりと上昇していきます。降りると5年後です。あなたは再び芸能人として受け入れらています。開き直った芸風が受けたのです。何も問題のない世界、ストレスのない世界です。あなたはとても気分がいい…。
(現実世界に戻ってくる田代。その目は真っ赤に充血していた)
田 ふ〜。
−−未来に行きました?
田 行った行った。狭いエレベーターだった。確かに気分が楽になったよ。佐山さん、オレも含めてなんですけど、引きこもりだったりニートだったり、気力のないやつはまず何から始めればいいんですか?
佐 正座から始める! 正座をして心を平穏に。不安心をリセットすればなんでもできるよ。
田 いやあ、事件起こす前に佐山さんと会って、話を聞きたかったです。でも、もう遅いですよね。
佐 遅くなんかないよ。とりあえず3日間、うちのジム(興義館)に通ってみて。精神修練するから。決定ね。
田 え〜〜!! 「禁固3日」じゃないですか。…分かりました!
田 子供のころからプロレスが大好きで、でも、音楽に集中した時代は、しばらくプロレスから離れていたんです。でも、再びプロレス好きに戻してくれたのが初代タイガーマスクでした。スター性があるのはもちろん、どうやって見せたら観客が喜ぶかをタイガーは知ってましたよね。だから、ああ、僕のやってる音楽とも共通項があるんだなあと思ったものです。
佐 ありがとうございます。まあ、あのころは時代も良かったから。
田 ダイナマイト・キッドや小林邦昭さんとか好敵手にもいいレスラーが揃っていた。でも、どうしてこんなにプロレス人気は落ちてしまったんでしょう?
佐 いや、いまのレスラーはかわいそうですよ。ガチはできないし、規則にがんじがらめ。学芸会みたいじゃないですか。プロレスを猪木さんの元に帰して、ストロングスタイルを復興することが人気復活につながるはずです。
田 オレなんかは、佐山VS猪木とかあったら、死んでも見に行きますけどねえ。あとガチ系なら佐山VSシウバ、いやヒョードルでもいいかな。
佐 猪木さんはないにしてもほかは…。
田 ありえるんですか? 見てーッ!!
佐 期待…しないでください!