彼との対談は大変興味深いものになったのだが、この対談の2日前、筆者は不思議な夢を見ていた。夢の中で“夢である”と自覚したのだ。俗にいう「明晰夢」というものである。なぜか、僕は現実には存在しない息子の手を引いていた。
「これは夢だな、早く目を覚まさないと」
すると、奇妙な声が聞こえた。
「お前たちが現実と思っているものこそ、本当は夢なのだ。今、お前たちが見ている睡眠中の夢と同じだ」
この言葉に筆者は反論した。
「馬鹿な、俺たちの現実が夢などと信じられるか、現実は現実だ」
すると、その声はやや怒ったような口調になり
「ならば、今見ているこの夢を現実として固定してやろうか」
と言うのだ。
「何だって、そんなことはできるわけがない」
私は夢の中で息子の手を引いて走り回った。
「これは夢だ、夢だ。絶対目覚めてやるぞ」
息子の手を引いて走り回った筆者だが、どうやっても目覚めなかった。
「やばい、この夢はやばい」
筆者がそう思い始めたとき、妻が声をかけてきた。
「そろそろ起きないといけないんじゃない?」
その声でようやく目が覚めたのだ。筆者の横には息子代わりの愛犬が寝ていた。
この不思議な体験を編集者に話したところ
「それは、すごい。カバーロさんも同じことを言ってました。『この現実は夢だ』とエイリアンが彼に言ったそうなんです」
「なんですって、そんな偶然が」
このほかにも不思議な事件は続き、カバーロ氏は日本中にクラリオン星人旋風を巻き起こして帰っていった。人気アニメ「エヴァンゲリオン」の中で、人間の心の中に攻めてくる使徒が出てくるが、エイリアンも人間の心や精神にアクセスすることは可能なのだろうか。筆者の夢を操作したのは、いったい誰なのだろうか。
(山口敏太郎)