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道具街の名前の由来にもなった、河童寺こと曹源寺にまつわる逸話

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画像はイメージです

 浅草の近くにある「かっぱ橋道具街」。さまざまな問屋が集まり、食品サンプルの店を中心に再び脚光を浴び、観光客が増えている。この名前の由来になった寺院があるのをご存じだろうか。

 「かっぱ寺」とも呼ばれているのが、東京都台東区にある曹源寺だ。

 その由来を知るには、江戸時代までさかのぼる必要がある。現在の合羽橋商店街あたりにあった新堀川の堀削工事で、雨合羽(あまがっぱ)商の喜八が私財を投じて尽力した。当時、曹源寺付近は水はけが悪いために水害が絶えず、雨合羽商の喜八が一肌脱いだのだ。その工事にはなんと、かつて喜八が命を助けたという隅田川の河童(かっぱ)たちが多数協力していたという。なんともユーモラスで心温まる話ではないか。

 喜八は亡くなった後、1819(文化11)年に菩提寺である曹源寺に葬られ、「かっぱ寺」と名付けられたという。

 そんな曹源寺はモニュメントもユニーク。天井には人気漫画家が描いた河童のイラストが多数展示されている。

 漫画の神様こと手塚治虫はドテラを着込み、キセルをくわえる粋な河童を描いた。『冒険ダン吉』をはじめ、戦前の漫画界をリードしてきた島田啓三は淡いタッチで船頭を務める河童を描いた。妖怪漫画の第一人者、水木しげるの絵もある。

 ほかにも、曹源寺にはカッパの手のミイラなるものが展示してある。賽銭箱にも河童のイラストが施されており、随所に楽しみがある。

 もともと隅田川では河童の姿が多数目撃されており、不思議と商売繁盛につながったという。そのため合羽橋商店街には、曹源寺をはじめさまざまな場所に河童のデザインが見られる。

 ちなみに「かっぱ橋」の由来には他の説もある。合羽を製造する職人らが製作途中の合羽を橋の欄干にかけ、干している様子がよく見られたため「かっぱ橋」と名付けられた、という話もある。

 妖怪の河童であるにせよ、服の合羽にせよ、「かっぱ」は当時の人々の暮らしと結びついて生まれた地名だったのだろう。

(山口敏太郎)

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