ましてや、11番人気のノーマークでアッといわせる逃げ切り勝ちを収めたコスモフォーチュンの昨年とは打って変わって、今年の北九州記念はどの陣営も「徹頭徹尾マーク」を口にし、石坂師自らも「他の馬が強くて負けたらしょうがないが、速さが違うでしょう。いきなりから走ってもらわないと困る」と事実上のV宣言を快速アストンマーチャンが大本命。その自信がアダとなり、ゴール寸前で形成大逆転の外差し一気が“ハマる”落とし穴も想像に難くない。
近江職人、谷やんのお眼鏡にかなったのは、常に届くか届かないかハラハラ、ドキドキの典型的差し馬スピニングノアール。
“夏は牝馬が強い”というのが定説だが、冬場にも実績を残している男馬ながらも、いつも的確な馬券アドバイスを提供してくれる中川助手が「硬さが出る冬場と違って、今は本当に筋肉が柔らかくてさばきがいい。ホント、いい汗をかいている」と元来の夏馬と断言。「一か八かで鞍上が目をつむって、あの狭いところを突進した」CBC賞は両サイドから挟まれ悪夢の落馬。前走のアイビスSDは「みんな内から外に寄ってくるから、ちょうどエンジンがかかった時に詰まる不利」があり、不完全燃焼の6着に終わったが、間違いなくうなぎのぼりの水銀柱と正比例して「今年一番のデキ」で挑めるのは確か。加えて、武豊、安田富男、藤田伸二に続く史上4人目のJRA全場重賞制覇に「やる気満々」で小倉入りする蛯名の闘魂のムチがしなれば、「アストンマーチャンが醸し出すハイペースは望むところ。今度こそ届く予感がする」という好漢・中川助手の悲願も外ズバ差しで成就するに違いない。