−−コミックエッセイには赤ちゃんや少年として登場する息子さんは、いくつに?
兵藤「17歳になりました。この9月から最終学年の12年生が始まりました。受験生です。アメリカの大学のシステムは日本とは違うのですが、なんとなく進学したいところは絞っているみたいです」
−−息子さんのどんなところにNY育ちの影響を見る?
兵藤「NYの子どもたちは、ハグをしたりなど、スキンシップの中で育てられています。また、冷静に話し合うことを、学校でも、家庭でも、小さなころから教えられています。そのおかげで、息子は今、17歳ですけど、家に帰ってきたら『ただいま!』と言ってハグしてくれます。何でも話をしてくれますし、父親とも、1時間でも、2時間でも、ずっとしゃべっています」
「ただ、それは、NYの子どもたちはみんな習慣としてやっていることなのです。私の友人の子どもたちもNYにいるのですが、小さなころからハグしていました。今はティーンエイジャーになったその子たちも、私に会うと、『ハイ、ユキ!』と言って、照れずにハグしてくれるんです。それは、環境がそうさせていることなんです」
−−息子さんに反抗期はあった?
兵藤「反抗期の定義によると思いますが、もちろん成長すればいろいろなことに悩みます。ただ、だからといって、『うるせーな』とかにはなりません。親の方も、『親の言うことが聞けないのか』などと抑えつけることはしませんし」
−−NY暮らしで身につけた、幸せになるコツは?
兵藤「人から声を掛けられたらまず笑顔を作って『なーに!』と答えること。これはすごいですよ。NYだと、『Hi』と言った瞬間、もうみんなニコッとしていますから。しかも両手を広げてね。それだけで、ハッピーになります」
−−今後、やってみたいことは?
兵藤「学校でのいじめ問題もそうですが、人が数人集まるとそこには何かしらの問題は必ず生じてきます。その時に子どもがそれにどう対処して行けるかの根幹は、胎児のときの母親の精神状態、生まれてからの親や周りの大人の子どもへの接し方などが大きく影響し構築されていくと言われています。子どもにとってこの時期がとても大切なんですね。講演会などもやっていますが、オープンマインドな子どもが育つためには大人がどう変わっていったらいいかなど、子どもが幸せに育つ社会になるような手助けが少しでもできたらいいなあと思っています」
(インタビュー・文・写真:竹内みちまろ)