秋華賞と同じく緩やかなペース。好スタートを切ったダイワスカーレットは迷わずハナを切った。2番手にアサヒライジングがつけたが、ほかの後続馬は動かない。後半の半マイルを45秒9の猛スピードで走ったスカーレットが危なげなく逃げ切った。
「スタートが抜群だった。何も考えずにハナに行った。ジワッと逃げたので、道中の手応えも楽でしたね。着差以上の余裕がありましたよ。こういう競馬ができるんだから、もう少し距離が延びても大丈夫でしょう」
殊勲の安藤勝騎手は会心の勝利に、笑顔でレースを振り返った。
一方で、どこか物足りなさを感じているのも事実。最大の強敵ウオッカが出走を取り消したからである。「何だか拍子抜けしました」というジョッキーの声はファンも同じことだろう。松田国師も、手放しでは喜べなかったに違いない。直前リタイアを余儀なくされたウオッカ陣営の無念を察するかのように、あえて勝利者インタビューを断った。
もっとも、昨年、一昨年のエ女王杯優勝馬フサイチパンドラ、スイープトウショウの「2強」をあっさり撃破したスカーレットは、近年最強といわれる現3歳牝馬のレベルの高さを体現化したといっていい。これでGIは桜花賞、秋華賞に続いて3勝目。今年の「最優秀3歳牝馬」のタイトルは決まった格好だ。ただ、その座をかけた今年最後の牝馬GI…ライバル抜きでの勝利は何ともスッキリしないものとなった。