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オリックス・バファローズの近鉄復刻ユニフォームに一部ファンが憤り その理由は複雑な歴史にあり

 4月28日から30日の福岡ソフトバンクホークス戦で、オリックス・バファローズが1978年から1996年まで近鉄バファローズが採用していたビジターユニフォームを着用。一部のファンから憤りの声が上がっている。

 オリックス・バファローズはここ数年「KANSAI CLASSIC」として、近鉄バファローズと阪急ブレーブスのユニフォームを着用する試合を設置。概ね好評であることから今年も着用することになった。

 今回は対戦相手の福岡ソフトバンクホークスが南海ホークスを、そして西武ライオンズが2008年に日本一になった当時のユニフォームを着用し、「かつてのファン」の取り込みを狙う。

 「オリックス・バファローズ」になってからのファンには好評だったが、かつての近鉄ファンの一部からはブーイングが。「近鉄バファローズ」の歴史を合併という形で終わらせたオリックス球団が「近鉄」の名で試合をすることについて、「筋が違う」と感じているようなのだ。

 さらに、阪急ブレーブスについても、一部のファンからは「西宮を捨てたチームが着るな」「常勝阪急を返せ」と恨み節が。喜ぶファンの裏で、苦虫を噛み潰す人も存在していた。

 ちなみに、現在の監督である福良淳一氏の現役生活は阪急・オリックス一筋。昨年の近鉄バファローズユニフォーム着用デーでは、抗議の意志をこめてか、一部の試合でオリックスのパーカーを着て采配を振るったこともある。

 一方、東北楽天ゴールデンイーグルスには、最後の監督で近鉄一筋で現役を終えた梨田昌孝氏や、真喜志康永コーチ、古久保健二バッテリコーチ、高須洋介コーチなど、近鉄OBが。一部のファンからは、「楽天が近鉄のユニフォームを着たほうが似合うのでは」という皮肉も出るほどだ。

 20年来の近鉄ファンで合併を機にプロ野球ファンを止めたというAさんはこう語る。

 「近鉄ファンとしては、『近鉄』がなくなっても良いので、なんとか選手全員で野球ができる『バファローズ』を残してもらいたかった。それを無視した形で合併となったことが残念だった。

 合併に不満を持った当時選手会長の礒部公一氏や岩隈久志投手が合併球団入りを拒否し、楽天に行ったように、オリックス・バファローズについて快く思っていなかったファンは大勢いました。もちろん、ついていったファンも多かったのですが。

 あれから14年経過し、もうあの頃を知らない選手・ファンばかりになったため、一種のリスペクトのつもりで近鉄バファローズのユニフォームを着用しているのかもしれませんが、自ら歴史を終わらせたチームを今さら中途半端に蘇らせて試合させるのは、はっきり言って気分が悪い。

 良くも悪くもオリックス・バファローズというチームは、当時のファンや選手の反対を押し切って生まれた合併球団ですから、過去を引っ張り出すのは止めて、前だけを向いてほしい。

 今回の近鉄バファローズビジターユニフォームは、初優勝や10.19、1989年にラルフ・ブライアントが渡辺久信らから4打席連続ホームランを放ち、逆転リーグ優勝に繋げた試合で着用していた思い出深いユニフォーム。それを合併球団が着用するのは、正直許せないものがあります。

 ただ、自分のようなファンはもう少数派で、老害と見られてしまいます。もう、野球を見ないという選択肢しか、自分にはありません」

 複雑な事情を抱えて船出したオリックス・バファローズだけに、「その歴史」を知る一部のファンは、復刻ユニフォームに憤りを感じている。それもまた、この球団の宿命ということだろう。

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