会社の中で消耗する女性・深海晶(新垣結衣)と、調子よく振る舞う世渡り上手なエリート会計士・根元恒星(松田龍平)の恋仲を描いた本作。第9話では、どうにも変えられない現実に絶望した2人が、とうとう一線を超えてしまった。最終話ではやや関係性がこじれたものの、呉羽(菊地凛子)が周囲からのバッシングにケリをつけるために開いた謝罪会見を見て、2人は少しずつ考え方を変えていく――という展開が描かれた。
前評判は高かったものの、ストーリーがはっきりとせず中だるみも多かったことから、次第にアンチが増えてしまった本作。視聴率も初回の11.5%が最高で、それ以降、二ケタ視聴率を記録したのは第6話(10.0%)のみだった。『逃げるは恥だが役に立つ』『アンナチュラル』などの人気ドラマを担当した野木亜紀子氏が脚本を務めただけに、この結果に落胆する声もあった。
しかし、最終話では晶がこれまで出せずにいた退職願をとうとう社長に提出。恒星が粉飾決算への加担にケリをつけて「モヤモヤ」を清算した。
これまでの2人の苦労が報われたことに視聴者は、「分かりやすいストーリーじゃないからこそ、じんわり楽しめた」「つい見続けちゃう、見たくなっちゃう、胸の奥に響くようなドラマだったな」「単純に恋愛ドラマやと思ってたけど、めっちゃ人生リンクしてきていろいろとじーんてきた」と絶賛した。
また晶と同じブラック会社などに勤めて辛い現実を味わっているという視聴者からは、「最後退職願出してくれて、自分まで救われた気がする」「自分もキツかったからこのドラマに救済された」といった声も寄せられていた。
一方で、本作について「このストーリーは映画に向いてる」「物語はかなり文学的だったと思う」といった声も。そのためかドラマ好きからは、「いらない話が多すぎ。全部で5話もあれば完結する内容だった」「いつか面白くなる予感だけがずっとあって、それを待ってたら終わっちゃったって感じ」「こっちは純文学読んでるんじゃなくてドラマを楽しみたいんだよね…」といった批判的な意見も噴出。まさに賛否が分かれる結果となってしまった。
さまざまな感想を呼んだ本作。賛否はあるものの、『獣になれない私たち』が新しいドラマの形を生み出したのは間違いなさそうだ。