6月28日、NPBはオールスターゲームの『選手間投票』の結果を発表した。ファン投票ではゼロだった阪神は、糸井嘉男の選出によって“汚名返上”となった。また、阪神は昨年2位なので、金本知憲監督(50)がセ・リーグベンチに入り、緒方孝市監督(49)をサポートする。伝統球団としては「選手1人」は寂しい限りだが、ファン投票とは正直なものである。低迷する今季の現状に虎ファンも「喝」を入れたのだろう。
「残された選手は練習ということになります。球宴期間に短い夏休みを取るベテランもいますが、後半戦に向け、チームを建て直す意味でも、球宴休みはいろいろな話し合いができるんです」(ベテラン記者)
フロント幹部と現場首脳陣の話し合いがされるとなれば、阪神の球宴休みは重苦しいものとなる。
「阪神では、定期的に球団幹部が本社役員を訪ね、戦況を報告しています。1か月か2か月に1回くらいの割合で」(在阪記者)
6月22日のことだった。その定例報告会のため、球団幹部が電鉄本社で待つ坂井信也オーナーを訪ねたときだった。坂井オーナーを始め、本社役員側から”質問”がされた。関係者によれば、報告会でのオーナー、本社役員は「聞き役」に徹していることが多い。競技の専門性、経営者と競技者という立場を尊重し合っているからだが、この日だけは違った。関係者によれば、本社役員たちから「これから、どうするの?」と質問されたそうだ。眉間に皺を寄せ、厳しい表情で聞いてきたという。
「主にロサリオのことを聞かれたそうです。ロサリオは不振でついに二軍落ちしてしまいました。低迷する打線の現状を打破する策を指揮官がちゃんと持っているのか、と…」(関係者の一人)
ロサリオの不振を受け、本社は新たな外国人選手、エフレン・ナバーロの獲得をサポートした。獲得資金などの援助をしたという。但し、それは株主総会が近づいていたため、出席者たちによる球団批判を前もって抑え込む狙いもあったとされている。
「打撃陣の不振が長引くようであれば、抜本的な見直しもしなければなりません。外部から選手を補強して勝てるのであれば、対象選手の見極め方を修正すればいいのであって…」(前出・同)
阪神が「改めて注視しなければ」としているのが、日本ハムの中田翔(29)だという。中田はすでに国内FA権を取得しているが、不振を理由にそれを行使しなかった。「行使しても、阪神が自身を獲らないと分かったから」という言い方をするプロ野球関係者も少なくなかった。
「日ハムは清宮中心のチームに切り換えています。将来の4番バッターであり、ポジションも重複する中田も自身の置かれた立場は分かっているはず。昨年オフ、残留を選択した理由は成績不振。今年は復調しつつあり、FA権を行使するかどうかと聞かれれば、可能性は高いと思います」(前出・ベテラン記者)
阪神首脳陣は「アタリ、ハズレ」の大きい外国人選手を探すよりも、中田獲得を再検討すべきかどうかを話し合う。球宴休みの間に話し合い、決定には至らないとしても、今オフの補強についてある程度の方向性は決めておきたいという。
阪神OBのプロ野球解説者がこう言う。
「金本監督は『若手を育てる』と、就任会見で言い切りました。若手を育てている最中だから、過去2年間の敗戦にもファンは文句を言わなかった。外部補強をやめろとは言わないが、なぜ、頭角を現した若手が2年続けて活躍できないのかを検討すべき」
虎の球宴休みは「ひと息付いて」とはいかないようだ。