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アメリカ分裂という「可能性」の謎

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画像はイメージです。

 財政危機は、数の多すぎる移民や少なすぎる紙幣で説明をつける。戦争は、軍需産業や国際的な銀行のせいにする。和平会談が失敗したのは、イギリスにこけにされたり、フランスやソ連に一杯食わされたからだという理由で片づける…ジョン・F・ケネディ:1961年の大統領就任演説より。

 アメリカ政界のみならず、全世界をも震撼させたトランプ候補の当選から、密かに、あるいはなかば公然と語られはじめたひとつの可能性がある。それは、なんらかの形でアメリカが分裂し、修復不能な事態に陥るというものだ。
 
 いわゆる「お上」という存在に対してきわめて従順な日本人にとっては、ある意味最も受け入れ難い意識かもしれないが、欧米、特にアメリカには官僚組織や中央政府に対する抜き難い不信感がある。もともと、西欧の民主主義が独立心の強く、個人主義的色彩の強いギリシャの市民社会に根差したものであり、集団全体の利益を優先させる官僚制や中央集権国家とはなじまない概念だったのかもしれない。
 
 例えば、そういった意識が最も極端な形で現れたものとして、アメリカ深南部などに存在する「極右」を挙げることができるだろう。南北戦争期に発生し、第二次世界大戦前には数百万もの会員を擁していた「クー・クラックス・クラン」をはじめとするアメリカの「極右」集団は、現在でも各方面で盛んに活動を展開しており、トランプ候補の当選を持ち出すまでもなく、既に伝統的な政治的潮流を脅かす存在のようにさえ見える。しかも、かつてオクラホマ連邦ビルを爆破した、いわゆる「民兵」(ミリシャ)のように、ほとんどゲリラ同然といっても過言ではないような武装集団さえ存在しているのだ。

 そのため、日本に住む我々には想像もつかないほど、アメリカが再び分裂するという可能性は深刻かつ重大に受け止められているといえるだろう。また、そのような背景があるためか、アメリカ分裂を扱った大衆娯楽作品は少なくない。小説から映画、ドラマ、あるいはボードゲームやアプリまでもが生み出されている。

 なかでも1994年に発表されたボードゲーム「クライシス2000」は、現在の状況を予言したとさえ評価される作品で、そこに秘められたメッセージは実に興味深い。また、アメリカ分裂を扱った小説やゲームなどには、様々な秘密が隠されているというのだ。
(続く)

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