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小泉八雲が幼少期に遭遇した「のっぺらぼう」

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小泉八雲

 小泉八雲は日本の近代における怪談の祖であるが、そのルーツは少年時代の幻想体験にあるという。日本に帰化する前の旧名は、パトリック・ラフカディオ・ハーン。ギリシャ・レフカダ島で生を受けた。

 なおハーンという姓は、ジプシーの出自だ。ハーンの叔母に当たる人物が、アイルランドの田舎道でジプシーに未来を占ってもらったところ、「あなたは私たちの仲間です」と言われたという。このエピソードは玄孫(やしゃご)・小泉凡氏が「民俗学者小泉八雲」(恒文社)で紹介している。

 八雲本人もジプシーの血統を持つことに誇りを持っていたらしい。アイルランド人の父親と、ギリシア人の母親との間に生れた八雲は、アイルランドのダブリンに移住するが、両親の離婚により、近隣に住む大叔母に引き取られることになった。

 16歳のときに左目を失明し、父を病気で失った。さらに、資産家であった大叔母の破産により退学に追い込まれてしまう。この当時、八雲は霊や妖精など、怪しいモノを目撃する体験をしている。八雲が目撃した中で、最も特徴的なものは「のっぺらぼう」であろう。大叔母ブレナンの家に、秋から春にかけて現れるジェーンという女性の生霊らしきものを目撃しており、その顔がのっぺらぼうであったと回想している。怪談「むじな」への布石は既に打たれていたのだ。

 実は、エイリアンの被害者は、野外よりも自宅の寝室で拉致されることが多い。つまり、就寝中にエイリアンに遭遇しているのだ。ならば、八雲が見た妖精や魔物たちは、現代風に解釈すればエイリアンということになる。また、エイリアンと遭遇した者の中には、エイリアンの容姿を目も鼻もない“のっぺらぼう”と表現している者もいるのだ。

 小泉八雲は実際に何らかの妖怪を目撃していたのだろうか。小泉八雲の怪談の中には、のっぺらぼうが出てくる「むじな」という作品があるが、この作品が生み出される下地はこの幼少期に形成されたのではないだろうか。

(山口敏太郎)

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