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創作の舞台が現実に!?千葉・南総里見八犬伝「伏姫の洞窟」に山口敏太郎が潜入

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 現在、筆者の「山口敏太郎タートルカンパニー」には「前世が滝沢馬琴」という人物が所属している。読んで字のごとく、「自分の前世は滝沢馬琴である」と自称している人物なのだが、その発言にはときおり偶然では考えられないものもあり、興味深い。

 本物の滝沢馬琴は江戸時代後期に活躍した戯作者。代表作でもある『南総里見八犬伝』は室町時代、安房国里見家の伏姫と神犬・八房、そしてその因縁によって結ばれた八犬士の活躍を描いた伝奇小説だ。そんな『南総里見八犬伝』冒頭で、伏姫がこもったとされる洞窟が千葉県の富山に残っている。

 小説なのに、伝説の舞台が現実になぜあるのか?と疑問に思うかもしれないが、事実は小説よりも奇なり。いつしか小説が地元に伝説として根付いたようだ。 この伏姫洞窟に過去、筆者は足を運んだことがある。

 最寄りのJR内房線駅岩井駅に下り立つと、駅前には「八房と伏姫の像」が存在している。駅に背を向け、かなり左奥に向かうので探すには注意が必要だ。「伏姫の籠穴」は歩いても40分ほどの距離。ウォーキングを楽しむのもいいし、利便性を考え車で行ってもいいだろう。

 最近、観光用に造られたという「伏姫山門」を潜り、山路を登る。行き着くと正面と右手の二つの洞窟がある。どちらが「伏姫の籠穴」なのか困惑するが、同行した作家・多田克己氏の指摘のもと、郷土資料の写真と照合すると右手の洞窟が「伏姫の籠穴」であることが分かった。中には「仁、義、考、忠」など、八犬士の持っていた球が奉納されていたが、当然本物ではない。ボウリングの球にペンキで書いたのではないかという推理もあったが、謎は謎のままにしておくのが一番かもしれない。

 なお、この洞窟は伏姫がこもった穴とされているためか、説明版の文章も伏姫の口調で書かれている。「ようこそ〜妾の洞窟へ」と語りかける伏姫看板に軽いショックを受けるかもしれない。山門を降りて、多田氏らと「犬塚」を探したが、なかなか発見できない、山門近くの朽ちた岩が「犬塚」と気がついたのは5分後であった。この「犬塚」に八房の遺体が眠っていると伝えられている。

 さらに10分程車を走らせると、「犬掛の里」と呼ばれる場所に着く。ここで八房は生まれたとされており、親のいなかった子犬・八房は狸に育てられたという。「八房と狸の像」があるのだが、狸が小さくてかわいらしい。犬掛という地名はもともとそう呼ばれていたらしく、狸が犬を育てたという奇談も実話のようである。

 あくまで個人的推理だが、馬琴はこの狸と犬の親子という噂話をもとに、「伏姫と八房の異類婚姻談」を作り上げたのかもしれない。

(山口敏太郎)

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