さて、40代の離婚経験者のビッグと付き合い始めたキャリーだが、どうもお熱なのは彼女の方。
ビッグはきっとかに座に違いないと私はニラんでいるのだが、キャリーのようなまっすぐでわかりやすい女に取って、煮え切らない、本心をなかなか明かさないビッグは「クロスワードパズルみたいに複雑」
最初のデートからして「ネクスト・ドナルド・トランプ(次のドナルド・トランプ)」と言われるほどの金持ちなのに目立たない中国料理店に連れられて行き、(人に知られたくないのでは?)と不信感が芽生えてしまう。
かと思うと、クラブに誘っても来るのか来ないのか、色々と思い悩んで最後にはミランダにビッグの留守電の内容を聞いてもらい、「ねえ、彼って私のこと、好きかしら?」と聞くありさま。まだこの頃は携帯が普及していないので固定電話の留守電にメッセージを入れ、それを出先から聞くという方法が取られていたのだ。
が、訴訟で使う難解な文言を勉強した彼女にもビッグのメッセージは不可解そのもの。日本人が曖昧だなんて誰が言ったの?ビッグこそ曖昧そのもののような人物ではないか。
キャリーが色々と本心を問い詰めると実は深い理由がある訳でもないのだが、とにかくうるさいぐらいにコミュニケーションを取り合うアメリカ人からするとやきもきさせられる相手なのは確かだ。
(彼、あなたにさほど気がないみたい/He's just not that into you.)(註)。(そんな面倒な男、別れちゃいなさいよ!)と私は何度TV画面の中のキャリーに言った事だろう!
そんなモヤモヤした気持ちにさせる男と付き合っていくには「解毒剤」が必要になる。それが『年下の男』なのだ。
(註)「そんな彼なら捨てちゃえば」という映画の原題。原作は「SATC」の13のエピソードのコンサルタントをしたグレッグ・ベーレントとリズ・タシーロ。(セリー真坂)