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優勝決定後の“消化相撲”でも、白鵬に手を抜かせない“懸賞金”の魔力

 大相撲初場所(1月11日〜25日=両国国技館)は、横綱・白鵬(宮城野)が自身11度目の全勝優勝で、33度目の優勝を飾り、大鵬がもつ最多優勝記録32回を抜き去った。

 初場所は、まさに白鵬の独走だった。11勝4敗で、後に続いた横綱・日馬富士、大関・稀勢の里、徳勝龍に“4差”をつけ、13日目で優勝を決めた。

 日馬富士、鶴竜(10勝5敗)の両横綱もさることながら、大関陣も琴奨菊は9勝止まり、カド番の豪栄道は千秋楽で辛うじて勝ち越して(8勝7敗)陥落を阻止するありさまで、相も変わらず、横綱、大関陣のふがいなさが白鵬の独走に拍車を掛けてしまった。

 通常、13日目で早々と優勝が決まったら、残り2日は気が緩んでも仕方がないが、全勝で花を添えた白鵬の精神面の強さは大いに評価できるところ。

 そのひとつの原動力となったのが、取組に懸けられる“懸賞金”だ。懸賞金は企業が注目の一番に懸けるものだが、初場所の懸賞金総本数は1625本で、過去最多だった昨年秋場所の1381本を大きく上回った。

 本来、懸賞金の上限は幕内の制限時間(4分)の関係から一番につき50本とされていた。呼び出しが4分間で懸賞の旗を持って土俵上を歩いて掲示する本数の限界が50本と考えられていたからだ。ところが、白鵬が大鵬の記録を塗り替えたことで懸賞の申し込みが殺到。日本相撲協会では企業の要望を受け入れ、千秋楽結びの一番(白鵬対鶴竜)では、特例的に史上最多61本の懸賞が懸けられたのだ。

 懸賞金は1本6万2000円だが、そこから協会の事務経費5300円、納税用の充当金2万6700円が天引きされ、当日の手取りは3万円。つまり、この一番には183万円の臨時収入が懸かっていたのだから、白鵬が死ぬ気で取りに行ったのも納得。

 初場所で白鵬が獲得した懸賞金本数は史上最多の545本。1場所で白鵬がゲットした懸賞金総額は優勝賞金(1000万円)をはるかに超える1635万円。こんなにおいしい臨時収入が懸かっているのだから、すでに優勝が決まっていても、手を抜かせない“魔力”が懸賞金にはあるわけだ。

 ちなみに、初場所での懸賞金獲得本数上位5傑は2位=鶴竜(169本)、3位=日馬富士(160本)、4位=遠藤(123本)、5位=稀勢の里(115本)で、白鵬と2位以下には大差がついている。

 懸賞金は注目の一番、人気力士の取組により多く懸けられるが、勝たなければゲットできない。それを確実にモノにする白鵬の強さは筆舌に尽くしがたいものがある。

 なお、初場所は15日間満員御礼となった。これは、東京開催場所では若貴ブーム時代の97年初場所以来、18年ぶりのこと。野球賭博や八百長問題で地に堕ちた相撲人気だが、ここにきて回復。その最大の立役者が、白鵬であることはいうまでもない。
(落合一郎)

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