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視聴率も引き上げた! 新入幕の“怪物”逸ノ城が横綱超える存在感

 大相撲秋場所(9月14日〜28日=東京・両国国技館)は横綱・白鵬が14勝1敗で3連覇を飾り、千代の富士(現九重親方)と並ぶ史上2位タイとなる通算31度目の優勝を成し遂げた。白鵬は大鵬の持つ歴代最多優勝記録(32回)に、あと1回で並ぶ。

 しかし、秋場所で最も注目を集めたのは優勝した白鵬でも、他の横綱でも大関でもなく、新入幕の“怪物”逸ノ城(21)だった。

 逸ノ城は10年に来日し、鳥取城北高校に相撲留学。卒業後、同高相撲部でコーチを務め、13年9月、「全日本実業団相撲選手権大会」で優勝し、大相撲の幕下15枚目格付け出しの資格を取得。同年10月に湊部屋入りし、今年初場所、幕下15枚目付け出しで初土俵を踏む。幕下2場所、十両2場所で通過して、秋場所で新入幕を果たした。身長192センチ、体重199キロの体格で、まさに怪物だ。

 秋場所、東前頭10枚目の地位で、初日から6連勝した逸ノ城は、7日目に勢に敗れたものの、8日目から再び勝ち星を連ね、11日目には異例の大関戦が組まれた。それでも、逸ノ城は大関・稀勢の里、大関・豪栄道、横綱・鶴竜を立て続けに破り、1敗をキープ。14日目には白鵬に敗れたものの、千秋楽で逸ノ城が勝ち、白鵬が負ければ、優勝決定戦に持ち込まれるという状況を演出した。

 千秋楽で、逸ノ城は安美錦に勝ったが、白鵬も鶴竜との横綱対決を制し、優勝決定戦は実現しなかったが、100年ぶりの新入幕優勝の可能性を残したことで、お茶の間の視聴者の関心もグッと上がり、千秋楽(午後5時7分〜5時37分)の視聴率(数字は以下、すべて関東地区)は21.7%と大台を突破した。

 7月名古屋場所千秋楽(午後5時〜6時)は17.4%、5月夏場所千秋楽(午後5時〜6時)は15.5%で、いかに秋場所千秋楽の注目度が高かったか、数字を見れば明白。逸ノ城は視聴率の引き上げにも大きく貢献したのだ。

 鶴竜は11勝4敗とパッとせず、大関・琴奨菊と稀勢の里はともに9勝6敗、新大関・豪栄道は千秋楽でようやく8勝を挙げて勝ち越す体たらく。上位陣が総じてふがいない成績だった上、“期待のホープ”遠藤は3勝12敗とボロ負け、大砂嵐も7勝8敗と負け越すなかで、逸ノ城の健闘がなければ、ドッチラケの場所となるところだった。

 北の湖理事長(元横綱)は「新入幕で横綱、大関に勝つのは大変。力がついたら1年以内に優勝するかもしれない。将来的な横綱大関候補」と絶賛。

 新入幕での13勝は史上最多タイ、金星は41年ぶり。所要5場所(幕下付け出し)での三賞受賞は最速タイ。九州場所(11月=福岡)では三役昇進が確実で、所要7場所(幕下付け出し)の武双山を抜いて最速記録となる。

 最速大関昇進記録は所要12場所。九州場所で2ケタ勝つようなことがあれば、その記録を更新することもあるかもしれない。とんでもない、モンスターが角界に出現した。
(落合一郎)

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