「なに、笑ってんの? 気持ち悪いよ(笑)」
「だって、いつもアフター断ってたでしょ? 私からの誘いを断るなんて、何様なのよって思ってたんだから!」
ごめんね、と笑う彼を見て、さらにテンションがあがってしまう。ああ、幸せだな…。あまりにも嬉しすぎて、おもわず、彼の腕にしがみつく。スーツの上からはわからなかったけど、意外に筋肉質な体に触れて、ますます、虜になってしまいそうだった。
「これって、アフター特典?」
「違うよ〜! 何だか嬉しくて腕組みしたくなっちゃったの」
周りから見たら恋人同士というより、バカップルに見えてるかも〜! …なんて、私の能天気な考えとは裏腹に、彼から放たれたのは最低な一言だった。
「はいはい。本当にチャラいよな? キャバ嬢って」
…チャラい? キャバ嬢が?
「意味わかんないんだけど? どうゆうこと?」
「ちょっと、本気で怒んなよ? ただ、キャバ嬢ってこういうことに慣れてるよなって意味だよ」
プチンと何かが切れたのと同時に、組んでいた腕を振り切って、反対方向へと歩き始めた。彼が何か叫んでいたけれど、振り返ることができなかった。だって、今振り返ったら、おもいっきり泣いてるダサい姿を見られてしまうんだもん。
キャバ嬢だからチャラいって何? 普通の女の子と変わらない恋愛してるのに、キャバ嬢ってだけで信じてもらえないのって、すごく悔しい。
私だってひとりの女なんだから、好きな人だけには信じてほしいんだよ?
取材・構成/LISA
アパレル企業での販売・営業、ホステス、パーティーレセプタントを経て、会話術のノウハウをいちから学ぶ。ファッションや恋愛心理に関する連載コラムをはじめ、エッセイや小説、メディア取材など幅広い分野で活動中。
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