SF作品などの創作の世界では、なぜか触れ合うことでお互いを理解したり、歌や詩が言葉も分からない両者をつないだりするが、もしかしたら何らかの方法で思いを伝えることは可能ではないのか。
ローハンプトン大学のデジタル・メディア上級講師であるリチャード・カーター氏は宇宙人とのコミュニケーションのために人工言語で書かれた詩集『Signals』を発表して話題になっている。
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彼はかねてコード言語やさまざまなデジタル通信方式に常に関心を持ってきたが、1960年に数学者のハンス・フロイデンタールが宇宙人との交流のために考案した「宇宙言語」である「リンコス(Lincos)」に出会い、その芸術性と可能性に興味を持ったという。
フロイデンタールは記憶、道徳、競争や人間の生活の本質に関する要素を、数学と論理を使って伝えることに興味を持っていたという。その結果考案されたのが、異なる波長の無線信号を音化して言葉にした話し言葉であるリンコスだ。リンコスは概念的なものであったが、後にカナダの天体物理学者イヴァン・デュティルとステファン・デュマによって文字に変換し、1999年と2003年に近隣の星系へ「コズミック・コール」メッセージを送信するために使用された。
カーター氏の著作『Signals』は人類が宇宙人とコンタクトするために送信した「人工的な信号」と、星や惑星、銀河などの宇宙から我々に届く「宇宙の現象としての信号」の両方の意味を含んだタイトルとなっている。
カーター氏はこう語る。
「我々は様々な目的のためにメッセージを用い、宇宙へも発信しようとしていますが、同時にそれを受信しようとする機器を開発してもいます。宇宙から届くものには私たちが考えるような知的なメッセージはありませんが、実は既にある種のメッセージが我々に届いているのかもしれません」
「私は、フロイデンタールが本当にリンコスが使われることを想像していたのか、それとも、人間の聴衆のための知的な運動だったのか、疑問に思っています。私たちが宇宙に向かってメッセージを送っても、それが受信され理解される可能性は、ほとんど意味がないほど限りなく低いからです」
「リンコスは異星人とのコミュニケーションを試みたものですが、その信号が何を意味しているのかを理解し、それに対する意味のある応答を生成しようとする試みでもあります。それは変化する世界や地球が発し、私たちに伝えてくる信号かもしれません。その信号を理解することができれば、より良い未来へと我々を導けるのではないでしょうか」
山口敏太郎
作家、ライター。著書に「日本怪忌行」「モンスター・幻獣大百科」、テレビ出演「怪談グランプリ」「ビートたけしの超常現象Xファイル」「緊急検証シリーズ」など。
YouTubeにてオカルト番組「アトラスラジオ」放送中
参考URL
How to Write Poetry to Communicate With Aliens(VICE)より
https://www.vice.com/en/article/jgpqxk/how-to-write-poetry-to-communicate-with-aliens
宇宙人に通じる言語「Lincos」で書かれた詩集の“裏の目的”がヤバい! 異星間交流ではなく…!(TOCANA)より
https://tocana.jp/2022/07/post_237948_entry.html
ハンス・フロイデンタール(Wikipedia)より
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%87%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%AB
Lincos(Wikipedia)より
https://ja.wikipedia.org/wiki/Lincos