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全編スマホで執筆! ペナルティ・ヒデが“泣ける”小説発表、“売れる”TVショッピングの裏話も

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ペナルティ・ヒデ

 サッカーや家電の知識、『ノンストップ!』(フジテレビ)内「いいものプレミアム」でのMCなど、多彩な顔を持つペナルティ・ヒデ。2013年に『四季折々 アタシと志木の物語』(竹書房)で小説家デビューを果たした彼が、5年の沈黙を破って新作『いつか、あなたと』(幻冬舎)を発表した。本作でヒデが挑戦したのは“恋愛小説”。繊細な文章と心を掴まれる展開が魅力の一冊で「泣いた」という声も多い。

 今回はヒデにインタビューを敢行。新作のことはもちろん、芸人としての活動についても語ってもらった。

ーーまずは執筆活動を振り返ってみて、楽しさと苦しさ、どちらの比重が大きかったですか?

僕はスマートフォンで文章を書くんですけど、語弊があるかもしれませんが、親指一つで展開を決められる“贅沢な遊び”のようなものだったので一切辛さはありませんでした。もともと趣味で書かせていただいていたものでしたし、このような形で取材を受けさせてもらうのも幸せなことです。

ーー恋愛小説を書こうと思ったきっかけは?

正直な話を申し上げますと、1作目が出た3か月後には1本書き終えていたんです。“さぁブラッシュアップして出していこう”ってなった時に、某ドラマの設定と丸かぶりしちゃって……。スタッフに「知っていますか?」って言われて。「えー!」みたいな。じゃあ書き直そうということで、出版社の方と協議して、“どストレートな恋愛小説を書きましょう”ってことで。もともと体育会系の人間なんで、追い込まれた方が良かったんでしょうね。

ーー切り替えができたんですね。

頭を抱えたのは30分くらいです。全部が全部を捨てることなく、この人物だけは残しておこうというのがあったので、0とは言わないですけど、3〜4くらいからはスタートできたのかなって。

ーーヒデさんは『アメトーーク!』(テレビ朝日)などで“五反田芸人”としても有名ですが、小説の舞台は六本木です。

芸能人の方はよく行かれていると思うのですが、僕は付き合い程度でしか行ったことなくて……。ただ『大蓮』(作中に出てくる飲食店)に関しては、昔同じような店があの場所にあったはずです。

ーー祐介とハナが主人公ではあるものの、すべての人物にしっかりスポットを当てていますよね。

もともと2人が強い個性を持っていて、ここ中心に置かなくても“記憶にはしっかり残る人たちだな”と思ったので、そこに関わる人があまり色褪せない方がいいのかなと。

ーー加藤綾子さんや熊切あさ美さんなどもSNSで同作を紹介されていました。ワッキーさんの反応はいかがですか?

1作目も本作も渡しているのですが、まだ相方の声は届いていないです。ひらがなだけ読んでいるから時間がかかるので仕方ないですかね。今度絵本にしてあげようかな?

ーー(笑)。ただ男性が読んでもグッとくる内容だと思いました。

ネタもそうですけど、同性に「楽しい」とか「好きだ」って言ってくれるのが一番嬉しいです。

ーーペナルティさんのネタは圧倒的に男子支持がありますからね。

そうなんです。そもそも若い女の子に受けるはずがないんですよ(笑)。ただこっち(小説)は女性に読んでほしいですけどね。

ーーヒデさんは、芸人、小説家、「いいものプレミアム」でのプレゼンも話題ですが、ペナルティとしての活動も含めてどういったバランスでされているのですか?

学生時代サッカーに打ち込んでいて(大学時代、Jリーグチームからオファーがあるほどの選手だった)厳しいこと散々やってきて、あれがあったからこそ、いまの自分が成り立っていますし、それに比べたら今の仕事は全部楽しいです。取材ウケていても楽しいですよ。なんせ取材中に水が飲めるという(笑)。しっかり劇場にも立たせてもらっていますし、その間にテレビやラジオの仕事があって、空いたところで小説を作って……うまいことやらせてもらっています。

ーーサッカーや家電はもともとお好きだったので分かるのですが「いいものプレミアム」はどちらかというと女性向け。難しかったのでは?

“自分なりの角度で伝えていきたいな”という想いがありますね。あの……カッコつけていいですか? 僕は“物”を売っているんじゃなくて“物語”を売っているんですよ。「商品が家に届いたことによって家族の目線が一緒の方に向いて、より楽しく過ごせますよ」とか。

ーーカッコイイ(笑)! アドリブトークも相まって、通販の売り上げも伸びたと聞いたのですが、要因はなんだと思いますか?

5期連続在京テレビキー局で日本一って聞きました。そもそもモノがいいですし、僕なりに正直に伝えられたことだけだと思います。一般的な金銭感覚を確実に持っているので「高い」と思ったら「高い」と言わせてくださいとも話しています。だけども「高いなりの良さは伝えることができるので」っていう。逆に今までの方が下手とかではなく、商品に対して気を遣っていただけだと思うんですよ。僕は正直に言わせてもらったからかなと。

ーー最後に本作の見どころを教えてください。

読みながら、今好きな人とか、過去好きだった人とか、これから出会うであろう人を思い浮かべて読んでいただきたいですね。それによって、人間愛や物に対する愛とか、いろんな愛の形を見つけてもらえたら嬉しいです。僕はこの本読んで“コンビ愛”というのを久々に考えたんで……。もちろん“お笑い愛”も忘れずにいたいなと。がんばろうねワッキー(笑)。

(インタビュー終わり)

【作品詳細】
作品名:いつか、あなたと
著者:中川秀樹
定価:1,389円(税抜)
全国書店、ネット書店にて発売中

(取材・文 浜瀬将樹)

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