しかし、定説は覆された。世界のプロレスの祭典・『プロレスEXPO』と誰もが信じていたイベントの正体は、暗黒渦巻く地下プロレス『EXIT』だったのである! 何を隠そう、当のヒマラヤン・タイガーが、地下プロレス主催組織WUW(World Underground Wrestling)の大幹部だったのだから…!
“世界の屋根”ヒマラヤで開催されながら“地下”プロレスであるという、この上ないパラドックスをはらんだ今回の闘い。地下組織WUWの長、イワノフ・ロゴスキーJr.からの招集メールに導かれてネパールへ飛んだのは、富豪2夢路と、“スモー・キク”こと梅沢菊次郎だった。
これまでの地下プロレスの闘いのすべてには、必ず重要な意味が含まれていた。例えば、昨年の春に開催されたオーストラリアでの地下プロレスには、「南半球の最果てに、日本伝統の“サムライ・アート”を伝播する」という目的があったのだ(なぜ、地下組織の長イワノフJr.が日本の伝統にこだわるのかは、後日必ずご説明申し上げよう!)。今回の闘い、そして夢路たちがネパールに召還されたことにも、必ずや重要な意味が隠されているはずなのだが…。
3月11日、富豪2夢路と梅沢菊次郎は、成田空港を出発し、香港、バングラデシュを経由してカトマンズ空港へ降り立つ飛行機へ乗り込んだ。
途中、8千メートル級のヒマラヤの山々が、機上の夢路の眼下にそびえる。
「そこに行けばどんな夢も叶うというよ 誰も皆行きたがるが遙かな世界 その国の名はガンダーラ…」
世界一の絶景を眺めながら、夢路は少年時代に聴いた昔のヒット曲を思い浮かべていた…。
長旅の末、カトマンズ空港に到着した夢路と梅沢。
ネパールで二人は、国賓のような手厚い待遇でもてなされた。
ホテルも食事も、飛びっきりの一級品。“スモー・キク”梅沢は、ネパールの食事とよほど相性がよかったのか、120キロの体重がなんとネパール上陸後5キロ増量し、125キロとさらに貫禄を増していた!
夢路は、ご馳走を食いまくる梅沢を横目で見やりながら、ある言葉を思い出していた。
「食事などは豪華! 食わせて造血し、より地下ファイトギャンブルの血の饗宴を彩ってゆく…!!」
昭和の劇画王・梶原一騎による、闇に埋もれた“地下の大作”『カラテ地獄変 牙』の一説である。
そう、この食事ともてなしにも、必ずや何かの意味が託されている。そしてその糸を引いているのは、“ネパールの力道山”ヒマラヤン・タイガーなのだ…!
ヒマラヤン・タイガーのネパールでの威光は、われわれ日本のプロレスファンに想像がつかないスケールのものだった。
夢路と梅沢の宿泊費と食費、その他諸々の滞在費は、すべてヒマラヤン・タイガー持ち。
カトマンズの街の誰もがヒマラヤン・タイガーの名を知り、そして誰もがヒマラヤン・タイガーのことを、目を輝かせて誇らしげに語る。そして街中の至る所に、ヒマラヤン・タイガーのポスターが…。
日本のファンは、「ヒマラヤン・タイガー」と聞けば、一昨年に両国国技館と靖国神社で失笑を浴びた彼の姿しか知らない。
しかし、本国での想像を絶するカリスマぶりこそが、“ネパールの力道山”ヒマラヤン・タイガーの真の姿なのである。
ただ、カトマンズで見たヒマラヤン・タイガーの人気は、彼の凄さを知るにあたっては、ほんの氷山の一角に過ぎなかった。
富豪2夢路と梅沢菊次郎は、3月13日のカトマンズのリングで、ヒマラヤン・タイガーの真の恐ろしさを知ることとなるのである…!!
地下プロレス『EXIT』公式サイト
http://www7.plala.or.jp/EXIT/
梶原劇画で伝承された「地下プロレス」が、この日本に存在した! 闇の闘いを伝える『EXIT』とは何か!?
http://npn.co.jp/article/detail/97320773/
世界に拡散する地下プロレス…ネパール、香港で繰り広げられた“世界地下行脚”を追う!(1)
http://npn.co.jp/article/detail/54205265/
(山口敏太郎事務所)
参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou