リバウンドした信子は今井太一(速水もこみち)とケンカ別れしてしまう。互いに素直になれない信子と太一は低次元の言い合いで泥沼に陥る。イケメン・パティシエ役の速水も、信子との口論では目を剥き出しにし、鼻を膨らますなど三枚目を演じている。
元彼の風見研作(勝地涼)は信子に積極的にアプローチするが、相変わらずのネット情報頼みと下心見え見えの言動が笑わせる。さらに信子の母親・智恵(伊藤かずえ)が意味不明な理由で家出し、父親の睦己(石塚英彦)が追いかけ、信子と瞳の目の前でグダグダな夫婦喧嘩が展開される。
このようなドタバタ劇の中で、瞳のシリアスさが突出している。これまではクールに信子を見守る一歩下がった存在であったが、今回はドラマの中に入っていった。瞳は信子と太一を仲直りさせるために太一に会うが、逆に太一を意識してしまう。信子に幼稚な反論する太一も瞳には優しい。瞳の絵を評価し、家庭環境に共感し、瞳のためにバースデーケーキを作る。信子の前では強がっている瞳も、太一の前では素直である。
信子と瞳は親友という設定であるが、基本的に瞳が信子を思いやる一方で逆はない。今回は信子と瞳が同居する家で信子の両親が夫婦喧嘩するが、悲惨な家庭環境で育った瞳にとって幸せの裏返しの夫婦喧嘩を見せつけられることは残酷である。そのような瞳にとって太一は貴重な存在である。傷つかないように他人との間に壁を作っていたクールビューティーが、太一の優しさに触れて恋する女性になる。
恋のライバルの登場は恋愛ドラマの定石であるが、『リバウンド』では存在感が薄かった。太一を狙う内藤有希(西山茉希)は相手にされていない。信子を狙う研作はギャグ要員である。二人ともお邪魔虫に過ぎない。これに対してシリアスな瞳は本気の恋のライバルになり得る。コメディの中でもクールを貫き、本気の恋をする栗山の演技に注目である。
(林田力)